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最前線

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「最前線」(1957米)星3
ジャンル戦争
(あらすじ)
 1950年、戦闘が激しさを増す朝鮮半島でベンスン中尉率いる小隊は孤立していた。そこに敗走するモンタナ軍曹がジープに乗ってやって来る。彼は戦場のショックで口がきけなくなった大佐を乗せて撤退するつもりでいた。しかし、ベンスンはそのジープを徴用し、モンタナに共に進軍することを命じる。

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(レビュー)
 過酷な戦場をサバイブする兵士たちの運命を非情なタッチで描いた戦争映画。

 大規模で派手な戦闘シーンも無ければ、ヒロイックな活躍もない地味な作品である。しかし、兵士たちの生々しい生態を時に繊細に、時に熱度高く描いた所に魅力が感じられる異色の戦争映画である。

 監督はアンソニー・マン。西部劇の名匠というイメージが強いが、戦争映画を手掛けたのは少なく、フィルモグラフィーを見る限り今作と「テレマークの要塞」(1965米)の2本のみのようである。

 緊張感を漂わせた序盤のシーンを皮切りに、随所にベテランならではの手練れた演出を披露しており、クライマックスまでダレることなく一気に観ることができた。開幕からベンスン率いる小隊は孤立無援の状態に陥っており、この絶体絶命なシチュエーションがスリリングで目が離せない。

 部隊の面々も夫々に個性的に造形されており、病弱な若い兵士、彼を気遣う心優しい黒人兵士、臆病で少し間の抜けた通信兵といった曲者が揃っている。そこに、横柄なモンタナ軍曹と戦闘の後遺症で心身薄弱に陥り口がきけなくなった大佐が同行することになる。ベンスンとアウトロー体質なモンタナはことあるごとに対立するようになり、この関係がドラマを面白く見せている。

 尚、個人的に最も印象に残ったシーンは、黒人兵士が野菊の花輪をあしらえたヘルメットを被るシーンだった。彼はその直後に、背後から敵兵に刺されて死んでしまうのだが、戦場の理不尽さを美醜のコントラストを用いて衝撃的に描いている。テレンス・マリック監督の詩情溢れる戦争映画「シン・レッド・ライン」(1998米)が想起された。

 また、モンタナは大佐を献身的に支え続けるのだが、その理由も終盤で明らかにされる。これには胸が熱くなった。大佐が呟く本作唯一のセリフは要注目である。

 他に、地雷原を突破するシーンや、敵兵の処遇を巡って言い争いをするシーン等も手に汗握るトーンで描かれていて見応えを感じた。

 クライマックスは本作で最も盛り上がる戦闘シーンが用意されている。しかし、冒頭で書いたようにヒロイックな活躍など一切ないリアルな戦場を描いており、このあたりの冷徹さにはアンソニー・マン監督のこだわりが感じられる。

 もっとも戦勝国アメリカの視点で描いている以上、最後はやはり勝利で締めくくられる。戦争の虚しさを描くのであれば、この結末は今一つ押しが弱いという感じがした。
[ 2023/10/20 00:25 ] ジャンル戦争 | TB(0) | CM(0)

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