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フィアレス

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「フィアレス」(1993米)star4.gif
ジャンル人間ドラマ
(あらすじ)
 建築者のマックスは、多くの犠牲者を出した飛行機事故から奇跡的に生還した。しかし、事故のショックから立ち直れず、生きた実感を持てない日々を送っていた。その頃、同じ飛行機に同乗していた女性カーラも、我が子を失い生きる希望を失くしていた。そんな二人が引き合うように出会い交流を育んでいく。

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(レビュー)
 映画は飛行機事故の墜落現場から始まる。幼い赤ん坊と小さな少年を連れたマックスがトウモロコシ畑から現れるという、どこか勇壮感を漂わせた光景が印象に残る。非常に幻想的でドラマチックである。
 個人的には「ジャンボ・墜落/ザ・サバイバー」(1981米)も連想させられた。ただ、あの作品とは全く異なる展開で物語は進行する。

 マックスは事故で助かったものの、そのトラウマから普通の生活を送れないようになってしまう。常に生きている実感を持てず、虚ろな目で宙を見つめながら無気力感に見舞われている。一方のカーラも、事故で幼い我が子を失い生きる意欲をなくし、半分死んだような日々を送っている。
 そんな二人が惹かれあいながら夫々に生きる希望を取り戻していく…というのが、このドラマのテーマである。

 監督はピーター・ウィアー。幻想的なタッチを挟みながら、地にしっかりと足を付けた演出が貫かれており、ベテランらしい安定感が感じられた。

 凄惨な事故を題材にしているので前半はやや重苦しい展開が続きしんどいが、マイケルが塞ぎ込んだカーラの心を徐々に介抱していく後半はペーソスを交えながら感動的に盛り上げらていている。

 特に、デパートのシーンは味わい深い。ピアノの伴奏がまた粋な演出で、マックスとカーラの魂の触れ合いに安らぎを覚えた。
 そして、その後に続く展開も印象深い。それまでの落ち着いたトーンを一気に壊すような情熱的な演出に心奪われた。U2の名盤「The Joshua Tree」のオープニング「Where The Streets Have No Name」の効果的な使用も奏功している。

 終盤のサスペンスフルな演出も、序盤の伏線が効いていて一気にエンディングまで気持ちよく乗って行けた。鑑賞の余韻を途切れさせない幕引きも上手い。

 それにしても、本作のマイケルはどこかこの世の者とは思えぬ超然とした佇まいをしている。彼のおかげで救われた乗客もたくさんいて、その奇跡はさじずめ現代に蘇ったキリストの偉業のようでもある。実際に彼は世間の注目を浴び、聖人のように祭り上げられていく。しかし、これがかえって彼の中で生きてる実感の妨げとなってしまう。何とも皮肉的な話である。

 マックスに信仰のシンボルが投影されていると考えると、本作は単なる魂の救済ドラマでは片付けられない深みも感じられる。奇跡を求めたがる大衆と、現実とのギャップに戸惑うマイケルの苦悩。それを、ある種皮肉的に描いて見せた現代の寓話という見方もでき、この辺りにはクリント・イーストウッド監督の「ハドソン川の奇跡」(2016米)やデンゼル・ワシントンが主演した「フライト」(2012米)との共通性も感じられた。

 キャストでは、マイケルを演じたジェフ・ブリッジスの抑制された演技が素晴らしかった。
 また、カーラを演じたロージー・ペレスは車中の慟哭の熱演に見応えを感じた。自分だけが助かってしまったことに対する悲しみがひしひしと伝わってくる名シーンである。
[ 2023/11/24 00:30 ] ジャンルファンタジー | TB(0) | CM(0)

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