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サリー・ポッターのパーティー

「サリー・ポッターのパーティー」(2017英)星3
ジャンルコメディ
(あらすじ)
 国会議員をしているジャネットが大臣に任命され、仲間内でささやかなパーティーが開かれることになる。ジャネットの友人エイプリルと恋人のゴットフリート、大学教授のマーサと妊娠中の恋人ジニー、若くして成功した金融マンのトム等。和気あいあいとパーティーは始まるが、ジャネットの夫ビルの一言で不穏な空気に変わり…。

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(レビュー)
 イギリス映画らしいシニカルでブラックなジョークが横溢するワン・シチュエーション型コメディ。

 ジャネットの大臣就任を祝って和気あいあいと始まるパーティーだが、夫ビルが突然余命宣告をされたという告白をしたことで、場の空気は一変してしまう。
 トムがピストルを隠し持っていたことが判明したあたりから嫌な予感はしていたが、まさかここまで修羅場と化すとは想像できなかった。

 そもそもの話、夫々にパートナーがいながら、知人の相方と不倫に溺れる感覚が自分などには理解できない。これも人間の本性ということなのだろうか?
 いずにれせよ、この修羅場と化した状況を一体どうまとめるのか…と思っていたら、ラストは”そうくるか”と苦笑してしまった。この突き放したオチに作り側のシニカルな眼差しが感じられる。

 監督、脚本はサリー・ポッター。「タンゴ・レッスン」(1997英仏)、「耳に残るは君の歌声」(2000英仏)等、丁寧でそつのない作りで数々の佳作を世に送り出してきたベテランである。
 今回は限定されたワンシチュエーションの中で、全編会話劇を主体としたモノクロ映像の作品となっている。他の作品に比べると明らかに小品的な作りになっているが、軽妙な演出とクライマックスにかけての盛り上げ方などはよく考えられていると思った。

 イギリス映画らしいエスプリを利かせた会話劇もすこぶる快調で、愛憎渦巻く対立は、西洋医学と宗教、労働階級と資産階級、フェミニズムとジェンダー、風刺と哲学にまで言及されながら繰り広げられ、クスリとさせるものやドン引きしてしまうような笑いが散りばめられている。

 欲を言えば、設定説明に費やされる前半が少し退屈してしまったことである。登場人物が多いので、この辺りは致し方なしという感じがした。

 キャスト陣のアンサンブルも見応えがあった。
 特に、ジャネット役のクリスティン・スコット・トーマスの神経症気質な演技が絶品である。ビルを思い切りひっぱたくシーンには笑ってしまった。しかも2度にわたって…。
 ビル役のティモシー・スポールも熟練した演技を披露している。老い先短い運命に悲壮感を滲ませる一方で、まさか裏では”そんなこと”をしていたとは…。いやはや、まったくもって恐れ入ったタヌキ爺である。
 トム役のキリアン・マーフィーは、どこか悪人になりきれない憎めなさを上手く出していた。
 他に、パトリシア・クラークソン、ブルーノ・ガンツ等、錚々たる演技派が揃っており、彼らの丁々発止のやり取りが映画の充実度を一段階底上げしているように思った。
[ 2024/01/15 00:40 ] ジャンルコメディ | TB(0) | CM(0)

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