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アニマルズ 愛のケダモノ

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「アニマルズ 愛のケダモノ」(2016豪)star4.gif
ジャンルサスペンス
(あらすじ)
 1987年、オーストラリア郊外の静かな町で、17歳の女子高生ビッキーが誘拐される。犯人は連続女子高生殺人犯の中年カップル、ジョンとエブリンだった。監禁されたビッキーは必死の逃走を試みるのだが…。
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(レビュー)
 実際にオーストラリアで起こった誘拐事件を異様なトーンで綴った実録スリラー作品。

 こんな事件があったというのを全く知らずに観た。犯人の中年カップルの異常な心理が大変興味深く、どこまで事実に即して描かれているのか分からないが、エンタテインメントとして大変面白く作られているように思った。

 但し、事件の解決やビッキーの家族の動向、警察の捜査といったサスペンス的な面白みは完全に排された作りになっている。基本的に本作は、犯人夫婦であるジョンとエブリンのアブノーマルな関係に主眼が置かれており、サイコキラーの実像に迫った映画である。

 特筆すべきは、彼らがどうしてこのような事件を起こすに至ったのか?そのあたりの理由が完全に伏されたことである。これによって、観ているこちらとしては何とも言えない気色悪さを覚えた。

 演出も所々に面白い物が見つかった。
 まず、冒頭のスーパースローモーションで捉えた映像に引き込まれた。陽気に戯れる女子高生たちを、ジョンとエブリンが遠くから眺める主観映像で始まるのだが、これが実に不気味で一気に画面に引き込まれた。
 中盤にも、平和で閑静な住宅街をスーパースローモーションで捉えた映像が出てくる。これも冒頭のシーンのように、日常の中に潜む得体の知れぬ闇を感じさせ、実に印象に残った。

 また、直接的なバイオレンス描写はそこまで多くないので、この手の監禁物や拷問物の映画が苦手な人でも楽しめるのではないだろうか。

 例えば、ビッキーをベッドに拘束するシーンは淡々としたロングショットで描写されている。普通であればビッキーの恐怖に迫るような演出があって然るべきだが敢えてそうしていない。それによって彼女の心理的な恐怖よりも絶望感、悲壮感の方が強調される。これは実に陰湿的な演出だと言える。
 あるいは、ジョンたちは犬を飼っているのだが、終盤でこの犬がジョンに蹴り殺されてしまう。ここも直接的な表現は一切していない。その代わりに我が子のように可愛がっていたエブリンの慟哭で事の残酷さが上手く表現されている。

 このように、いわゆる見世物を売りにしたキワモノ映画とは一線を画した作りになっており、このあたりは監督のセンスなのだろう。

 本作はキャストの熱演も見所である。
 特に、エブリン役の女優の演技には目が釘付けになった。彼女には前夫との間に離れて暮らす子供がいる。今は面会を赦さておらず、いつか引き取って一緒に暮らしたいと望んでいる。そんな彼女の母性が、誘拐したビッキーとのやり取りからかすかに見えてくるあたりが興味深い。この微妙な心理表現は見事だった。
 そして、パートナーであるジョンの愛が自分ではなく若くて美しいビッキーの方に向いていると知ると、途端に嫉妬に狂いだす。邦題のサブタイトルにある”ケダモノ”になってしまうのだ。この愛憎のギャップが実に恐ろしかった。

 尚、この事件はオーストラリアではかなり有名で、鑑賞後に検索してみると幾つか詳しく書かれた記事が見つかった。映画との相違が知れるので興味のある方は検索してみるといいだろう。
[ 2024/02/13 00:46 ] ジャンルサスペンス | TB(0) | CM(0)

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