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愛しのタチアナ

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「愛しのタチアナ」(1994フィンランド)star4.gif
ジャンルロマンス・ジャンルコメディ
(あらすじ)
 マザコンでコーヒー中毒な洋裁屋ヴァルトとウォッカ瓶をいつも持ち歩いてるアル中の自動車修理工レイノが、気ままなドライブ旅行に出かける。途中でエストニア人とロシア人の二人組の女性に出会い、彼女を港まで送ることになるのだが…。
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(レビュー)
 訳あり男女4人の関係をオフビートなタッチで描いたロードムービー。

 フィンランドの巨匠アキ・カウリスマキが撮った約1時間の中編作品である。いかにもカウリスマキらしい”とぼけた”味わいと哀愁漂う幕引きが心に残る逸品だ。

 物語は実にシンプルである。ヴァルトとレイノの冴えない中年男が、エストニアとロシアからやって来た女性と出会い一緒に旅をする…という話である。

 普通であればここでカップルが成立するのだが、そこはカウリスマキの映画である。そうはならない。ホテルの部屋に一緒に泊まっても何も起こらないし、ダンスホールに行ってもダンスを踊らない。ヴァルトとレイノは過度に内気で女性たちと目を見て話することすらできないのである。もはやここまでくるとコミュ障のレベルなのだが、氏はずっとこうした男性像を映画の中に登場させてきた。

 一方、女性陣については謎が多い。エストニア人の女性はタチアナと言い、本作のヒロインである。しかし、彼女のバックストーリーはほとんど語られず、最後の最後になってようやく少しだけ判明するといった次第である。そして、ロシア人の女性の方は、おそらく何か理由があって故郷に帰ろうとしているのだろう。これもよく分からない。

 全編セリフが少なく感情を表に露わにしないため、色々と情報を探り当てていくしかないのだが、これこそがカウリスマキ作品の大きな特徴で、抑制された語りを噛み締めながら鑑賞することで、何とも言えない味わい深さが滲み出てくるのである。

 しかして、ラストは少し切ない終わり方になっている。いつも一緒だったヴァルトとレイノにある意味で残酷な差が生じるのだが、これをどう捉えるかというのも観る側の感性に委ねられるだろう。

 サクッと観れる短い作品ながら、印象に残るシーンは幾つかあった。ショーウィンドウのシーン、紅茶のシーン、そしてレイノとタチアナが最も距離を縮めるシーンが可笑しかった。また、意外性という意味では終盤の妄想シーンが挙げられる。ここにはギョッとさせらせた。

 キャストでは、何と言ってもタチアナを演じたカウリスマキ映画のミューズ、カティ・オウティネンの繊細な演技が絶品である。また、レイノを演じるマッティ・ペロンパーも常連組の一人であるが、残念ながら本作が遺作となってしまった。まだ44歳の若さということで急逝が偲ばれる。
[ 2024/02/05 00:56 ] ジャンルロマンス | TB(0) | CM(0)

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