fc2ブログ










ザ・クロッシング

pict2_358.jpg
「ザ・クロッシング」(2021仏チェコ独)星3
ジャンルアニメ・ジャンル戦争・ジャンルファンタジー
(あらすじ)
 移民迫害により村を追われた姉弟キョナとアドリエルは、両親とはぐれて見知らぬ町を転々としながら流浪の旅を続ける。ある日、少年ギャングを率いる青年イスカンデルテと出会い行動を共にするのだが…。
ランキング参加中です。よろしければポチッとお願いします!

FC2ブログランキング
にほんブログ村 映画ブログへ人気ブログランキングへ

(レビュー)
 迫害を受ける幼い姉弟の悲劇的な運命を斬新なタッチで描いたアニメーション作品。

 物語はいたってストレートなサバイバル・ドラマだが、キョナとアドリエルの旅は様々な出会いと別れで紡がれていき最後まで興味深く観ることが出来た。
 物語の根底に流れるのは移民差別、反戦といったメッセージである。これもいつの世にも通じる普遍的なテーマで真摯に受け止めることが出来た。

 監督、脚本は本作が初の長編作品となるフローランス・ミアイユという女流作家である。
 元々、彼女は短編アニメを製作したり絵画の個展を開いたりしている人で、その才能は各方面から高い評価を受けているということだ。今作のアーティスティックな映像からも、その才能は存分に感じられる。

 ちなみに、本作は自身の曽祖父と母の実体験を元にして作られたということである。おそらく第二次世界大戦下のユダヤ人迫害を投影しているのだろう。地名や民族名は架空のものになっているため、寓話的なテイストが横溢するが、差別と難民、孤児のドラマは非常に現実的である。

 まず、映画は彼女のアトリエと思しき実写映像から始まる。カメラは机の上のスケッチブックに寄っていき、そこからアニメーションの世界に入っていく。驚くべきはアニメの表現技法である。何とガラスに描かれた油絵を少しずつ加筆修正しながらアニメーションに仕立てたということである。想像しただけで気が遠くなるような作業だが、実際に本作は完成までに10年以上を費やしたということだ。正に労作と言えよう。

 尚、油絵を動かしてアニメーションにした作品と言うと「ゴッホ 最期の手紙」(2017ポーランド英)が思い出される。あれも6万枚以上という膨大な油絵を使った長編アニメだった。

 こうした既存とは一線を画した手法は、普通のセル画やCGによる表現とは違い、他に類を見ないような作品世界が創造され不思議な味わいをもたらす。この独特な手触りのアニメーションだけでも一見の価値があるように思う。

 そんな本作で映像的に最も印象に残ったのは、姉弟が森の中を彷徨うシーン、キョナが湖を泳ぐシーン、サーカス一座の公演シーンの3箇所である。実写では到底再現できないようなファンタジックな映像が独特で面白かった。
[ 2024/03/01 00:15 ] ジャンルアニメ | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://arino2.blog31.fc2.com/tb.php/2360-54723406