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ブラインド・マッサージ

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「ブラインド・マッサージ」(2014中国仏)star4.gif
ジャンル人間ドラマ・ジャンルロマンス
(あらすじ)
 シャー院長が経営するマッサージ院には様々な従業員が働いていた。幼い頃の事故で視力を失った青年シャオマーや、周囲からの美人という評判を喜べないドゥ・ホン等。そこにシャーの友人ワンが恋人コンを連れて転がり込んでくる。シャオマーは次第にコンに惹かれていくようになるのだが…。
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(レビュー)
 視覚障がい者たちが働くマッサージ院を舞台にした群像劇。
 普通はこういう題材を描く場合、大抵は健常者との格差や社会との隔絶、孤独感や疎外感といったテーマに向かいがちなのだが、本作は違う。あくまで視覚障がい者の立場に立って、彼等の苦悩や幸福、家族や恋人との愛憎が、ある種内省的に描かれている。
 ハンデを持った者だからと言って特別に同情したり、憐れみを持ったりするのではなく、普通の人々と同じように描いていて、そこに作り手側のフラットな眼差しが感じられた。

 監督は「ふたりの人魚」(2000中国独日)「スプリング・フィーバー」(2009中国仏)の鬼才ロウ・イエ。本作は中国のベストセラー小説(未読)の映画化という事である。

 演出は視覚障がい者の世界を追体験するようなドキュメンタリータッチが徹底されている。その独特な映像表現は「ふたりの人魚」を彷彿とさせるようなところがあり、特にシャオマーの視界表現はアーティスティックで中々面白いと思った。

 また、院内における愛憎関係やシャオマーと娼婦マンの関係など、本作にはベッドシーンが赤裸々に登場してくる。障がい者と言えど男と女である以上、人並みに性欲も持っているし、嫉妬や情念も持っているわけで、ロウ・イエはそこも臆せず描いて見せる。このあたりは「スピリング・フィーバー」に通じる泥臭いリアリズムが感じられた。

 物語はシャー院長とドゥ・ホンの恋慕、シャオマーと娼婦マンの愛欲、ワンの借金苦といった3つのエピソードを中心にして展開されていく。

 夫々に興味深く見れたが、特にシャオマーとマンのドラマは独特の展開で繰り広げられており惹きつけられた。
 彼はマンに過去の”想い人”を重ねて見るのだが、目が見えないはずなのにどうして彼女に惹かれたのか?そこがこのエピソードの重要な所ではないかと思う。
 劇中でたびたび天の声と思しきナレーションが入る。その声がこんなことを言う。見に見えるものが必ずしも真実ではなく、見えないものにこそ真実がある…というような言葉だ。彼らは目が見えない分、触覚や嗅覚で周囲を感知する。シャオマーはマンの匂いを嗅いで瞬間的に惹かれるが、おそらく彼女の匂いはかつて自分が恋焦がれた”想い人”に似ていたのではないだろうか。視覚ではなく嗅覚的な恋愛衝動がこのドラマをユニークなものとしている。

 ワンのエピソードも、かなり強烈なシーンが出てくるので印象に残った。彼には金の無心を繰り返す愚弟がいて、ある日ついに堪忍袋の緒が切れたワンは”ある行動”に出る。中国の経済格差を如実に表すエピソードで、何ともやりきれない思いにさせられた。

 リアリティを求めたキャスティングにもこだわりが感じられた。主要キャストはプロの俳優が演じているが、マッサージ院で働くほとんどの登場人物は本物の視覚障がい者ということである。

 音楽は故ヨハン・ヨハンソン。静かで抒情的な旋律が陰鬱になりがちな物語にかすかな癒しをもたらし、作品を味わい深いものにしている。
[ 2024/04/19 09:00 ] ジャンルロマンス | TB(0) | CM(0)

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