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稲妻

再び成瀬巳喜男監督の作品。前回の「あにいもうと」とは違ったテイスト。
しかし、ラストはやっぱりしみじみとさせる。
稲妻稲妻
(2005/05/27)
高峰秀子三浦光子

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「稲妻」(1952日)star4.gif
ジャンル人間ドラマ
(あらすじ)
 清子には父親の違う姉兄達がいた。年頃だというのに結婚願望のない彼女に、長女縫子が見合いの話を持ってくる。相手はパン屋の綱吉という男だ。そこには縫子夫婦の魂胆が見え見えだったので、清子は余り乗り気ではなかった。そんなある日、次女光子の夫が急死する。縫子夫婦と綱吉は、光子を気遣いもせず保険金を宛てにし始める。一方、長男嘉助は戦争後遺症を嘯いて仕事もせずパチンコ通い。こんな姉兄達が嫌になった清子は、母を残して家を出て行ってしまう。
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(レビュー)
 下町に生きる家族の悲喜こもごもを成瀬巳喜男が冷徹な眼差しで描いた作品。

 原作は林芙美子。成瀬とのコンビは「めし」(1951日)に続いて二本目となる。以後、成瀬作品に林芙美子の原作は欠かせぬものとなっていく。人間の醜悪な本質を冷徹に捉えたものが多く、それが成瀬&林作品の大きな特徴と言える。

 前回紹介した「あにいもうと」(1953日)同様、これも典型的なホームドラマだが、全体から受ける印象はかなり苦々しい。物語は、不倫、離婚、死別といったネガティブな事件に家族達が振り回されるといった内容だ。元々父親が違うということもあり、兄姉達の間に血縁としての繋がりは薄い。名ばかりの家族にあって、末っ子清子の気苦労を考えると実に不憫に思えてくる。
 しかし、そんな陰隠滅滅としたドラマであっても、ラストをしみじみと見せるあたりが成瀬監督らしい。音楽の力も効果絶大といったところだが情感極まる締めくくりになっている。

 キャラも明快に描き分けられていて見やすい。
 狡猾な縫子、慎ましやかな光子、頑固な清子。三姉妹のコントラストは絶妙だ。
 特に、結婚に対する猜疑心から独自の生き方を発見していく清子からは、自立心の強い女性像、言わば現代的な女性像というものが強烈に感じられる。
 演じるのは高峰秀子。元々こうした芯の強い女性を演じることが多い女優だが、ここでもキャラクターとしての説得力を十分見せ付けている。
 一方、男優陣もそれぞれに好演を見せている。綱吉役の小沢栄太郎は含みを持った嫌らしい表情が実に上手い。まさに適役である。
 こうした適材適所の配役によって本作は見事に支えられている。
[ 2008/09/27 02:52 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(0)

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