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ランブルフィッシュ

映像の格好良さに酔いしれてしまう作品。この頃のコッポラはまだ良かった。
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(2008/09/11)
マット・ディロンミッキ-・ローク

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「ランブルフィッシュ」(1984米)star4.gif
ジャンル青春ドラマ
(あらすじ)
 不良グループのリーダー、ラスティ・ジェイムズは、宿敵ビフの挑戦を受ける。ガールフレンド、パティと愛し合った後、決闘の場所へ向かった。すると、そこに行方不明になっていた兄バイクボーイが現れる。負傷したラスティ・ジェムズに代わり、バイクボーイがビフを血祭りに上げた。久しぶりの再会を喜ぶ兄弟。しかし、カリフォルニアにいる母親へ会いに行ったと言う兄は、どこか昔の兄とは様子が違っていた。
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(レビュー)
 孤独感を抱えた兄弟の刹那的な生き様をスタイリッシュに描いた青春映画。

 監督はフランシス・F・コッポラ。どうしても同年に製作された同監督作「アウトサイダー」(1984米)と比較しまいたくなる。両方とも不良少年達を描いた青春映画だが、「アウトサイダー」と比べると本作は随分と毛色の違う作りになっている。
 「アウトサイダー」は少年達に寄ったスタンスで、ある種浪花節的な描かれ方をしていたが、本作はまったくの逆で、むしろ主人公達を突き放し客観視するようなスタンスに立って作られている。この2作品をほぼ同時に製作したことは、コッポラにとって野心的な試みだったのではないだろうか。

 映像に対するこだわりもコッポラの狙いだったと思う。
 本作は全編モノクロ映像が貫かれている。これは色が見えないバイクボーイが見る世界であり、同時にラスティ・ジェイムズの心象を映し出したものであろう。彼らにとってこの世の全てが味気ないモノクロに見える‥それを表現したものと思われる。ポイント的にカラーが使用されており、そこが演出の妙となっている。カラーになるのはランブルフィッシュ(闘漁)とガラスに映った自分の姿だけである。鮮烈な印象を残すが、彼らにとって色付いて見えるのが”それだけ”という所が実に物悲しい。

 ちなみに、本作を見て青山真治監督の「EUREKA」(2000日)を連想した。
 「EUREIKA」も全編モノクロで綴られる作品だったが、最後に鮮やかに色づく風景で締めくくられている。孤独に苛まれる主人公達に光明の兆しを与えるような終わり方だった。
 しかし、コッポラはそこまでのロマンチストではない。モノクロの世界を最後まで貫き通し今作のテーマを決定付けている。過酷な現実を最後まで提示し続けたのである。この後味の悪さは好みの分かれる所かもしれないが、「アウトサイダー」と違った方向性を打ち出したという意味においては成功していると思う。

 モノクロにこだわった映像以外にも、本作には実験的な映像演出が多い。まるでMTV的な若々しい感性は、これまた「アウトサイダー」との差別化を狙ってのことだろう。「アウトサイダー」が懐古的で「ゴッドファーザー」(1972米)的な作品とすれば、本作は先鋭的で「地獄の黙示録」(1979米)的な作品と言うことができるかもしれない。現に昼日中に住宅街がスモークで覆われるシーンは、まるでベトナムの戦場のようにも見える。

 ラスティ・ジェイムズ役のM・ディロンは相変わらずこういう役は上手い。しかし、それ以上にバイクボーイ役のM・ロークの存在感ある演技が中々良かった。
[ 2008/09/28 01:24 ] ジャンル青春ドラマ | TB(0) | CM(0)

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