B級映画なりの面白さがある。
「吸血鬼ゴケミドロ」(1968日)
ジャンル特撮・ジャンルホラー
(あらすじ) 政府の要人が乗った旅客機がハイジャックされる。その直後、旅客機は謎の発光体と遭遇し高山に不時着。ハイジャック犯は添乗員を人質にとって逃走するが、目の前に先ほどの発光体が現れる。光の中に引き込まれたハイジャック犯は、宇宙生物ゴケミドロに乗っ取られ吸血鬼と化し乗客を次々と襲い始めた。
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(レビュー) チープな作りだがゴケミドロに憑依されるシーンがインパクトを残す。額がパックリ割れてゼリー状のゴケミドロが侵入していく‥結構不気味だ。
一応SFホラーというジャンル映画で括られる作品であるが、乗客達の激しいエゴのぶつかり合いは人間ドラマ的な面白みも感じられる。
政治家と腰巾着とその妻、研究のためなら人命も惜しまない非人道的な宇宙学者、皮肉屋な精神科医、モラトリアム青年、ベトナムで夫を失った未亡人等、興味深いバックボーンを持った人物達が顔を揃えている。本来なら協力してこの絶望的な状況を打開せねばならないのに、彼らは醜悪な対立を深めていく。もしかしたら、宇宙生物ゴケミドロは争いの絶えない人類に下された神の審判なのかもしれない。そんなことを思ってしまった。
本作で不満だったのはクライマックスである。ゴケミドロと戦うヒロイックな主人公は存在するものの、その活躍は今ひとつ盛り上がらない。実に野暮ったく撮られていて残念である。予算の都合もあったのかもしれないが、ここはもう少し頑張って作りこんで欲しかった。
映像で印象に残ったのは、冒頭の赤い夕焼けとラストの虚無的な光景の二つである。終末観漂う不気味な映像は、幼い頃に見ていたらトラウマになっていたかもしれない‥。