M・ディートリッヒの魅力が画面から溢れ出ている。彼女の魅力に尽きる作品。
 | モロッコ (2006/12/14) ジュリエット・コンプトン/ウルリッヒ・ハウプト/ゲイリー・クーパー/アドルフ・マンジュー/マレーネ・ディ
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「モロッコ」(1930米)
ジャンルロマンス・ジャンル古典
(あらすじ) 歌手のアミーはモロッコへ向かう船で大富豪ベシュールに出会う。べシュールは一目で彼女の虜になった。翌晩、二人はモロッコの高級クラブで再会する。しかし、アミーはべシュールを無視して、アメリカ人兵士トムに色目を使い彼を部屋に誘った。トムはかなりの伊達男だったが、幾多の男を虜にしてきた彼女の方が何枚も上手だった。軽くあしらわれ尻尾を巻いて帰途に着こうとする。‥とその時、何者かに襲われる。この一件によってトムは罪に問われることになる。一方、アミーはべシュールからプロポーズを受け‥。
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(レビュー) 日本初の字幕スーパー洋画としても有名な古典的作品である。
とりとめもないメロドラマだが、この作品の魅力はアミー役を演じたM・ディートリッヒの美しさとラストシーンのインパクトにあると思う。
ディートリッヒの魅力に関して言うと、まずは彼女が登場する船上のシーンが挙げられる。色気というよりも何か怪しい雰囲気すら漂わせた出で立ちでべシュールを一瞬のうちに虜にしてしまう。この魅力には彼ならずとも参ってしまうだろう。
続くクラブのシーンでは歌とダンスが披露され、これまた彼女の魅力が存分に味わえる名シーンとなっている。観客は新顔への洗礼として恒例になっているブーイングを浴びせるのだが、それを物ともせず男装の麗人という出で立ちで軽くあしらう。次第にブーイングは収まり、彼女は場内を”自分の世界”に変えてしまうのだ。しかも、客席にいた金持ちマダムにキスをする大胆なサービスまで披露する。
男装の麗人の次は奔放なりんご売りの娘に変身する。これまた”いけ好かない”伊達男トムを面白いように翻弄し、正にやりたい放題で場内を大いに沸かす。これだけのギャップを演じ分けられるのだから、やはりディートリッヒという女優は大したものである。
このように前半から彼女の魅力は全開であり、彼女のファンなら間違いなく垂涎の映画であろう。
そして、この映画のもう一つの魅力はラストシーンである。
灼熱砂漠の中に消えて行くディートリッヒの後ろ姿は忘れがたい。ドラマの大団円として見事であるし、美意識の高い映像にも陶酔させられる。彼女の行く先には幸せがあるのか?それとも不幸があるのか?深い余韻と共に締めくくられている。