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クイズ・ショウ

社会派的な問題が前面に出されているが、個人的には人間ドラマの部分に強く惹かれた。
クイズ・ショウクイズ・ショウ
(2006/01/25)
ジョン・タトゥーロロブ・モロー

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「クイズ・ショウ」(1996米)star4.gif
ジャンル人間ドラマ
(あらすじ)
 1950年代、人気クイズ番組のチャンピオンだったハービーは無敵の強さを誇っていた。ところが、スポンサーに嫌われたことからチャンピオンの座から下ろされてしまう。代わって王座に就いたのはエリート大学教師のチャーリーだった。貧しいユダヤ人であるハービーと違って、彼は名家の子息。瞬く間に世間のアイドルになっていく。一方、ハービーはどん底の生活に逆戻りする。実は、番組は全てプロデューサーが仕組んだ”やらせ”だった。ハービーは会社の不正を訴えるが、裏から手を回されてその声をかき消されてしまう。代わって立法管理委員会の若き調査員グッドウィンが真相の解明に乗り出す。
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(レビュー)
 メディアによる大衆操作は恐ろしい。しかし、それに単純に踊らされてしまう我々にも問題がないとは言えない。真贋を見極める目を持つことは大切である。この映画を見てそんなことを思った。

 本作はアメリカ全土が熱狂した人気クイズ番組の虚飾にまみれた実態を暴いた実話の映画化である。メディアの利権、数字至上主義の悪癖は何も今に始まったことではない。現に、第二次世界大戦時の戦意高揚のプロパガンダなどは、その最たるものだろう。単に視聴率を稼ぐためだけの"ヤラセ”ならそれほど大きな問題ではないが、戦争ともなればことは重大である。我々は常に危機感を持ってメディを監視し続けなければならない。

 このように、今作は非常に普遍的なテーマを発していると思う。製作サイドの狙いもよく理解できた。

 ただ、一方で何故この事件なのか?そこについては、どうしても引っかかってしまった。ここで題材にされている人気クイズ番組は世間にどれだけ大きな影響力を持っていたのだろうか?おそらく視聴者は娯楽の一端としか見ていなかったのではないかと思う。番組の不正の発覚はタブロイド紙のネタとしては面白いかもしれないが、旬を過ぎれば大衆からすぐに忘れ去られてしまいそうな事件である。敢えてそれを描いた理由が今一つ理解できなかった。描くべき問題はもっと他にあるのではないか‥と思えてしまったのである。
 作品のモティーフに余り重要性が感じられないため、今作が訴えるメディア操作の恐ろしさというテーマも今一つ実感として伝わってこなかった。

 監督は俳優でもあるR・レッドフォード。個人的意見だが、彼が監督をする作品にはどうも回顧主義的な臭いを嗅ぎ取ってしまう。本作も古き良きアメリカを描きたい。そんな思いから出発しているような気がした。この事件は彼が好きなアメリカを描くための”一素材”のようにしか見えなかった。

 さて、この映画は基本的に社会派的な作品と言えるが、その一方で事件に関係する様々な人間ドラマも描いている。そこには数奇な出会いを果たした男達の憎しみと友情のドラマがある。個人的にはそちらの方に惹き付けられた。

 自信過剰で周囲の空気を読めないハービー。彼はその出自から悲惨な半生を歩んできた男であり、それが虚勢となって表れてしまう癖がある。それが原因で彼は人生を破滅させていく。好きになれないタイプだが人間臭くて中々良いキャラである。
 彼と正反対のキャラクターとして登場するチャーリー。彼は真面目で決して不正を許さない男だが、唯一の弱点がある。それが父の存在である。言わば、彼は父の影に隠れて生きる無名のサラブレットで、父の支配から逃れたい一心で捏造に荷担してしまう。彼もまた非常に人間味溢れるキャラクターで、その堕落と改心には共感を覚えた。
 そして、最後に登場するのが事件を調査するグッドウィンである。彼はチャーリーと同じ名門大学の出身で、しかも主席で卒業した超エリートである。しかし、チャーリーと違って彼は徹底的に不正を憎む。やがて、捏造に荷担したチャーリーとの間に友情が芽生え、彼の罪を反古にするかどうかで悩むようになる。この葛藤も魅力的に思えた。

 社会派的な物を求めてしまうと重厚さに欠けるが、このような濃密な人間ドラが繰り広げられることで個人的には中々楽しめた作品であった。作品の素材選びにもっと重要性を見出せれば更に面白く見れただろうが、そこは監督のR・レッドフォードの好み‥ということで致し方がない。社会派作品が好きな人よりも、人間ドラマが好きな人向きな映画かもしれない。
[ 2008/11/07 00:33 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(0)

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