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青春残酷物語

大島渚監督初期時代の才気溢れる作品。物語は通俗的だが若々しいタッチが魅力的。
青春残酷物語 [DVD]青春残酷物語 [DVD]
(2008/06/27)
桑野みゆき川津祐介

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「青春残酷物語」(1960日)星3
ジャンル青春ドラマ
(あらすじ)
 女子学生の真琴は夜遊びが過ぎて酔った中年男に絡まれる。そこを清という学生に助けられた。粗野で一匹狼な清に真琴は瞬時に惹かれ、二人は情熱的に愛し合った。それから1週間。清から一向に連絡がこなかったので、真琴はたまらず彼のアパートを訪ねた。そこにいた彼の親友から、金持ちマダムの愛人がいることを聞かされる。やけになった真琴は夜の街で酒を飲み、たちの悪いヤクザに絡まれる。そこに再び清が現れて助けてくれた。しかし、その代償は高くついた。金を稼ぐために二人は美人局を始めることになり‥。
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(レビュー)
 無軌道に生きる若者達の姿をシャープなタッチで描いた青春映画。

 劇中に渋谷の学生デモ隊の様子が登場してくる。当時は既存の価値観への反動が学生運動という形で噴出し、何を信じればいいのか?幸せとは何なのか?確たる指標を失い不安に覆われていた時代だった。清と真琴はそんな風潮をよそに暴力の世界に溺れ、即物的な快楽を貪欲に求めていく。その果てに訪れるのは衝撃的な末路だった。これは時代に抗った男と女のアナーキズムを描いた作品だ。

 真琴役の桑野みゆきが良い。殴られても川に落とされても愛した男から離れられないM気質な少女を肉体を張って演じている。また、タバコと酒をくゆらす時の”けだるさ”も幸薄そうで中々に良い。現代ではこういう女性像は流行らないだろうが、当時の日本ではリアルなものとして捉えられたのではないだろうか。時代を反映させた女性像だろう。

 真琴の姉由紀のエピソードも興味深かった。
 彼女は学生運動にのめり込んでいたせいで婚期を逸し、今は母に先立たれた父と質素な暮らしを送っている。生き方、恋愛観において真琴とは決定的に対立する女性である。
 彼女は日頃から真琴の奔放な生き方を否定しているが、しかし裏を返せばそれは彼女の嫉妬の表れとも言える。真琴の人生を否定する一方で、羨ましく思う自分もいる。このジレンマは、かつての恋人と再会するシーンで明確に吐露されているが、彼女は「真琴」にはなれない。目の前の恋人と寄りを戻す‥なんて勇気はないのである。実に不幸な女性だと思った。

 監督脚本は大島渚。スタイリッシュな演出は、日本のヌーヴェル・ヴァーグと称されるだけのことはある。前半の木場のラブシーンの美しさが強烈な印象を残す。亜流と言われればそれまでだが、それを実践したのは大島渚と同時代に活躍した吉田喜重くらいである。彼等の若々しいエネルギーが日本映画界を震撼させたことは、この映画から十分伺えた。
[ 2008/12/20 01:32 ] ジャンル青春ドラマ | TB(0) | CM(0)

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