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赤ひげ

黒澤明のヒューマニズムが炸裂した大作!
赤ひげ <普及版> [DVD]赤ひげ <普及版> [DVD]
(2007/11/09)
三船敏郎;加山雄三;山崎 努;二木てるみ

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「赤ひげ」(1965日)星5
ジャンル人間ドラマ
(あらすじ)
 長崎で医学を学んだ青年保本が小石川養生所に赴任してくる。志を高く持ってやってきたが、現実と理想のギャップに不満を漏らし怠惰に過ごす。そんな彼を所長の通称”赤ひげ”は厳しく諌めた。ある日、離れに隔離されている精神病の女が脱走した。保本は彼女に無警戒に近づき、あわや殺されそうになる。そこを赤ひげに助けられる。保本は自分の未熟さを恥じ赤ひげに師事するようになった。そんなある日、町大工の佐八が病気で倒れたというので保本は駆けつけた。彼から聞かされる過去の悲恋に、保本は故郷に置いて来た恋人のことを思い出してしまう。しかし、今や彼は赤ひげの助手として働くことに生きがいを感じていた。訪ねてきた恋人を冷たく追い返してしまう。
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(レビュー)
 孤高の医師赤ひげの活躍を、弟子である保本の成長と様々な患者の人生を絡めて描いたヒューマンドラマ。

 三船敏郎演じる赤ひげの人間味溢れるキャラクターが素晴らしい。DVに苦しむ人妻を助け、孤独死する老人を優しく見守り、言葉少ない中にも不器用な優しさが滲み出ている。強きをくじき弱きを助く王道的ヒーローだが、優等生ぶってない所が良い。少し自嘲じみたユーモアを見せるところも親しみやすい。

 赤ひげの活躍を描く一方で、この映画は保本の成長ドラマも描いている。様々な患者に接しながら一人前の医師に成長していくのだが、その中で最も印象深かったのは後半に登場する少女”おとよ”のエピソードだった。

 彼女は女衒で働いていた所を赤ひげに助けられ、保本に患者第一号として預けられる。生まれてから家族の温もりというものを知らない彼女は、身も心も完全に荒みきっていた。その治療過程がしみじみと描かれている。
 赤ひげは常々「病は貧困からくる」と言っている。市井に根ざした彼ならではの言葉であろう。貧しければ病気になるのは当然だが、それは何も肉体的なことだけを言っているわけでない。精神的なことを含めて言っているのだと思う。おとよのケースは正にこれだ。保本は彼女の心を開こうと根気強く接していく。そして、赤ひげのこの言葉の意味を知ることになる。医師としての成長という意味でもこれは重要なエピソードになっている。

 その後、おとよは保本の愛で見事に立ち直っていく。しかし、彼女のエピソードはこれだけでは終わらない。今度は救われたおとよが愛を注ぎ与える立場になっていくのだ。正直、ここまでヒューマニズムに徹せられると感極まってしまう。子役の演技に多少過剰と感じる部分もあるが、崇高なメッセージが真摯に発せられていて胸が熱くなった。

 演出はいかにも黒澤らしい剛直さが随所に伺える。手術を生々しく描く臨場感のある演出、地震で崩壊した町の風景を切り取ったダイナミックな演出、精神病の女の表情を長回しで追いかけた緊迫感に満ちた演出等、見事である。

 練成されたシナリオも3時間の長さを感じさせない。中だるみせず一気に見れてしまった。作品が訴えるメッセージにブレが無いからだろう。このあたりの作り方には本当に感心させられる。
[ 2009/02/02 00:34 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(0)

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