映像が素晴らしい。話は少しまとまりすぎな気がした。
「ウォーリー」(2008米)
ジャンルアニメ・ジャンルSF
(あらすじ) 環境破壊が進み人類が住めなくなった地球。地上にはたった一体のゴミ処理ロボット、ウォーリーがいた。ある日、宇宙からイブというロボットがやって来る。一目惚れするウォーリーだが、彼女には”ある使命”があり‥。
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(レビュー) ゴミ処理ロボットの恋と冒険を綴ったSFアニメーション作品。
映像が綺麗で実に素晴らしい。ピクサー製作のアニメは毎回本当に感心させられるのだが、今回も例に漏れず。ピクサーの力量をまざまざと見せつけられた。
キャラクターの表情が豊かで、ロボットである事をつい忘れて感情移入してしまいたくなる。ウォーリーとイブは言語によるコミュニケーションを取らず、目や動作によって感情を表現する。彼等の出会いと交友が前半のドラマを占めるのだが、その間セリフの無い演出が延々と続く。それでも彼等の考えていることが伝わってくるのだから、この演出は見事と言えよう。
思い出されるのが、同じピクサー製作の「モンスターズ・インク」(2001米)である。あれに登場するマイクという一つ目のお化けは、言葉こそ喋れたが、実際のところはコロコロと変わる目の動きによって感情が見事に表現されていた。今回のウォーリーとイブも目で訴える表現がダイレクトにこちら側に伝わってくる。キャラクター造形の上手さに感嘆してしまう。
物語は後半から人類が暮らす宇宙船に舞台が移る。ここからはアクション要素が強まってくるのだが、一連のドタバタ騒動は見ていて楽しいものの、集束過程、つまり結末にかけての展開はやや安易に思えてしまった。
そもそも人間が地球に戻ろうとする動機付けが曖昧に思えた。艦長が緑豊かだった頃の地球の映像を見て感動するのは分かるが、その他の乗員にとっては「地球?」だと思う。彼等にとって地球に帰ることのメリットをきちんと出しておかなければ、ここで描かれるドタバタ騒動は説得力のあるものに見えない。何だかウォーリーのロマンス成就というハッピーエンドでごまかされてしまった様な気がしてしまう。
ちなみに、メタボ体型に堕落した人類の姿には笑うに笑えない痛烈な風刺が感じられた。地上に戻ったらゴキブリに占領されていた‥なんて「猿の惑星」みたいなオチはブラックジョークとしてありかな?なんて考えてしまう。
尚、キャラクターの中ではイブのツンデレ振りが中々良かったが、掃除ロボットのモーもいい味を出していた。