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ベンジャミン・バトン 数奇な人生

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「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」(2008米)星3
ジャンル人間ドラマ・ジャンルファンタジー
(あらすじ)
 1918年、第一次世界大戦の勝利ムードに浮かれるアメリカ、ニューオリンズに奇妙な赤ん坊が生まれた。しわくちゃでまるで老人のような赤ん坊ベンジャミンは、生まれてすぐに母を亡くし父の手によって郊外に捨てられた。そこを救ったのが老人保護施設で働く黒人女性クィニーだった。赤ん坊が出来ない彼女は、天からの授かりものとしてベンジャミンを大切に育てる。不思議なことに月日が経つに連れて彼の容姿は見る見る若返っていった。数年後、彼は施設を訪れていた少女デイジーと初恋に落ちる。しかし、成人した彼は外の世界へ旅立つことを決心した。様々な出会いと経験を通して人生の喜びを得ていくベンジャミン。一方、デイジーはバレエダンサーとして成功していった。離れていても二人の心はいつも一緒だった。しかし、”ある出来事”により長らく続いていた文通が止まり二人の関係に亀裂が生じてしまう。
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(レビュー)
 老人として生まれた赤ん坊の数奇な運命をファンタジックに描いた人間ドラマ。

 人は老いるとオムツをつけて介護を受けるようになる。老いることは赤ん坊に戻るようだと言うが、正にそれを”容姿”で体現しているのが本作の主人公ベンジャミンである。

 ベンジャミン役のB・ピットが老人から少年までを一人で演じている。高度なCG技術によってちょっとしたことでは驚かなくなった今のご時世、このリアリティには驚かされた。画像編集ソフトで顔のしわを除去するような感じと言えば分かりやすいだろうか。”作っている”と分かっていても、この自然な映像には驚かされる。少年姿のブラピは、彼のデビュー時と寸分違わぬ顔に戻っている。技術の進歩に感嘆させられた。

 一方の物語はというと、寓話として割り切った上で見るしかない。そもそもベンジャミンの手記がそのまま本ドラマになっているわけだから、そこにリアリティ云々という突っ込みを入れても仕方がない。老人として生まれ赤ん坊として死ぬ男がいました‥という御伽話のような感覚で捉えるしかない。

 彼の人生は激動の20世紀を背景にしながら描かれていく。こう書くと名作「フォレスト・ガンプ/一期一会」(1994米)を思い出す人もいるかもしれないが、脚本家が同じである。ただし、本作は「フォレスト・ガンプ」とは似て非なる作品だと思った。
 「フォレスト・ガンプ」は政治や戦争といった世界的事件の中に主人公を放り込んだドラマなのに対し、本作はもっと個人的な狭い世界で繰り広げられるドラマである。例えば、酒や女を知ったエピソード、不倫のエピソード、本当の父親に関するエピソードといったものが描かれていく。スケール感はないが市井に根ざしたドラマは目線を低くしながら見る事が出来るので入り込みやすい。
 ただし、先述の通りこのドラマは本人の手記が元になっているので、客観的な視点は少ない。ドラマの背景はかなりぼかされており周縁の姿が少ないため、どうにも独りよがりな印象を持ってしまうのも確かだった。例えば、黒人公民権運動やベトナム反戦運動といった背景が一切出てこないあたりには不満を覚えた。最も波乱に満ちた60年代にベンジャミンは他国を放浪している。ドラマ的にここを描かずしてどうする?という感じがした。

 一方、デイジーとのロマンスだが、こちらは今ひとつだった。一つにはクライマックスの処理の仕方に不満を持った。随分とアッサリとしている。病床に伏したデイジーのベンジャミンに対する想い。そこに切実さが感じられないため盛り上がりに欠けてしまう。

 また、本ドラマは過去のドラマと現在進行のドラマで構成されている。現在パートは、デイジーの娘がベンジャミンの手記を母に朗読して聞かせるというものになっている。ここにはストーリー上の大きな欠陥があるように思う。娘の出生に関するエピソードは、おそらく観客は皆想像できることであろう。ならば、映画は序盤でそれをプレマイズとしておくべきである。彼女は今までベンジャミンを誰だと思って手記を読んでいたのだろうか?こうした突っ込み所は映画を根本からつまらなくしてしまう。

 尚、現在パートのドラマは、2005年8月のニューオリンズが舞台になっている。丁度ハリケーン・カトリーナが接近している最中の出来事であり、彼女等の運命も数奇‥ということになるのかもしれない。多くの犠牲者に対する手向けとして、製作サイドの崇高な意志に星3つを献上。
[ 2009/03/02 01:16 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(0)

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