美化された映像とモノローグに酔いたいのなら良いが‥。
「秒速5センチメートル」(2007日)
ジャンルアニメ・ジャンルロマンス
(あらすじ) 幼馴染の男女の出会いと別れをオムニバス形式で綴った作品。
第1話「桜花抄」は、離れ離れになった小学生の貴樹と明里が再会を果たすエピソード。
第2話「コスモナウト」は、高校生になった貴樹と彼を想う別の少女の関係を描くエピソード。
第3話「秒速5センチメートル」は、成人した貴樹と明里のその後を描くエピローグ的作品。
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(レビュー) 男女の別れと再会を美しい映像の中に綴った中編アニメーション。
監督は自主制作アニメ「ほしのこえ」で注目された新海誠。「ほしのこえ」はほとんど一人で作ったフルデジタルのアニメーション作品で、映像の完成度の高さには驚かされたものである。本作で描かれるドラマは、その「ほしのこえ」に通じるような数奇な恋愛ドラマだ。
モノローグと止め絵で見せる演出を主としながら、緩やかなリズムでドラマは進行される。時折アクセントとして短いカッティングが挿入されることで、作品に緩急のリズムが与えられ、一見地味になりがちな等身大の恋愛談をドラマチックに味付けしている。
ほぼ二人だけしか登場しない恋愛運命論的な世界観の構築はさすがに破綻無く上手いと思うが、他方でいかにも人工的でうそ臭い印象も持った。この世界観に身をゆだねながらファンタジーを夢想したいのならともかく、個人的には美しい映像や人物の吐露が余りにも奇麗事過ぎて入り辛い作品だった。
ドラマは、モノローグや映像でなくキャラクターが起こす”事件”で見せて欲しいと思う。