会話とサブキャラの面白さで一気に見れてしまう。
「フォー・ウェディング」(1994英)
ジャンルロマンス・ジャンルコメディ
(あらすじ) 独身貴族チャールズは、友人の結婚式に出席する機会が多くなり、そろそろ自分も‥と焦っていた。ところが、これまでの女性遍歴を考えても、生涯を共にしようという人は中々見つからなかった。そんな時、友人の結婚式でキャリーという女性に出会い一目惚れする。その夜、二人はベッドを共にした。翌朝、彼女から突然のプロポーズを受けたチャールズは、その言葉を真に受けずそれっきりとなった。それから2ヵ月経ったある日、別の結婚式でキャリーと運命的な再会を果たす。しかし、喜びも束の間、彼女に婚約者を紹介されて落胆する。1ヵ月後、結婚式の招待状を受け取ったチャールズは彼女に付きあい買い物することになるが‥。
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(レビュー) 出会いと別れを繰り返す数奇な男女のロマンスを、軽快なテンポで綴ったラブ・スト-リー。
チャールズ役はH・グラント。持ち前のプレイボーイ振りを前面に出しつつ、恋に真剣に取り組めないナイーブな男を好演している。冒頭のシークエンスからして可笑しい。友人の結婚式に寝坊した挙句、大切な結婚指輪を忘れてしまう軽薄ぶり。更に、要らぬ失言で墓穴を掘り赤っ恥をかいてしまう。良い年してこの甲斐性の無さは正に適役と言えよう。モテモテなキャラを演じることが多い俳優だが、こうした三枚目的な側面を覗かせるあたりが憎めない。
チャールズの周囲には、いつもお決まりの独身貴族、独身女性が揃う。こちらもユニークなキャラが揃っていて面白い。貴族出身のちょっと頭の弱いボンボン、バンカラ中年、心の優しい聾唖の青年、シニカルなハイミス、パンク少女といった個性的な顔ぶれが揃う。彼等が交わすウィットに富んだ会話、イギリス人らしいブラック・ジョークが楽しませてくれる。
本作の難を挙げるとすると、キャリー役のA・マクダウェルの魅力が今ひとつという点だ。
チャールズがキャリーと会うのは2度の結婚式と買い物デート、葬式の計4回だけ。チャールズの視座で進むドラマなので、その中で彼女の女性としての魅力を掘り下げていかなければならない。そこがドラマの味噌となる。しかし、例えば最初に会った時はどうだろう?一晩寝て翌朝にはプロポーズという非常識さ。これにはチャールズならずとも引いてしまう。そのくせ、2ヵ月後にはもう別の男を婚約者として紹介される。更に、買い物デートのシーンでは、実はこれまでに何人もの男達と寝てきた‥と自嘲交じりのジョークを飛ばす。これではむしろ嫌味な女に写ってしまう。小悪魔的なキャラクターを持たせようとするなら、別の表現があったのではないか?あるいは彼女以外に適役がいたのではないか?そんな風に思ってしまった。
また、結末についても少し引っ掛かった。ネタバレになるので伏せるが、恋愛に犠牲は付き物。そう言いたいのだろう。それは確かにそうなのだが、これでは安易に写り釈然としない。