誰もが持ってる青春時代の淡いロマンスを描いた佳作。
「おもいでの夏」(1970米)
ジャンル青春ドラマ・ジャンルロマンス
(あらすじ) 1942年の夏、ニューイングランドの小島に15歳の少年ハーミーと家族が避暑にやって来た。ハーミーは現地の少年達と仲良くなり毎日海に遊びに出かけ、そこで若く美しい人妻に出会う。ハーミーは一瞬にして心奪われた。人妻は夫が戦場に出兵したばかりで海辺のコテージに一人寂しく住んでいた。ある日、町で買い物袋を持った彼女を見かけたハーミーはそれを家まで運んでやる。これがきっかけで、彼女の家に招待されるのだが‥。
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(レビュー) 少年の一夏の恋を綴った青春ロマンス。
ソフトフォーカスで捉えた叙情的描景が心に染みる美しい映画である。朴訥としたムードが、いかにも古き良きアメリカといった感じで心温まる。
物語は、大人になったハーミーの語りで少年時代を振り返る回想ドラマになっている。やや懐古主義的だが、そこで語られる物語は実に堅実に作られている。大人のハーミーにシンクロするかのように、回想ドラマに素直に入り込むことが出来た。
これは、いわゆる年上の女性に憧れる少年の初恋のドラマである。取り立てて目新しい題材ではないが、安直に幕引きしなかった所が良い。また、単なる麗しき思い出だけに終わらせるのではなく、きちんと現実を見据えた少年の成長ドラマとして成立させた所に見応えが感じられた。
特に、人妻とハーミーの初夜を描くクライマックス・シーンは秀逸である。古いレコード、さざなみ、甘いキス‥何もかもが美しく儚いものに思えてくる。しっとりとしたトーンで描かれていて切々と胸に迫ってきた。
ハーミーと地元少年達との交流も、この手のドラマでは定番だが堅実に描かれている。エッチな本を拾って読んだり、干してある下着にムラムラしたり、映画館で女の子をナンパしたりetc.年相応の姿が微笑ましく見れた。特に、ドラッグストアにコンドームを買いに行くエピソードが印象に残った。いかにも性に好奇心旺盛なこの年頃の少年にありそうなエピソードである。
尚、本作の公開3年後に「続・おもいでの夏」(1975米)が続編として作られている。未見であるが、”おもいで”として本ドラマは葬られてしまったわけだから、それを改めて穿り返すような真似は無粋という気がしなくもない。