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スウィート・ムービー

異才D・マカヴェイフの不条理な過激作。この監督の作品もDVD化はされていない。
「スウィート・ムービー」(1974仏独カナダ)星5
ジャンルコメディ・ジャンルエロティック
(あらすじ)
 ミス・カナダのキャロルは大富豪の花嫁候補を選ぶテレビのオーディション番組で見事優勝し、早速アブラナブル氏の元に嫁いだ。しかし、彼のペニスが金粉まみれだったのに驚きベッドインを拒絶してしまう。これに腹を立てたアブラナブルは、彼女を下男の慰み者にして放り出した。一方、アムステルダムでは一隻の船が優雅に川を渡っていた。女性船長アンナは町の水夫を船に引き入れ肉体関係に及ぶ。彼女の欲望は留まる事を知らず、無垢な子供達にまでその手が忍び寄る。
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(レビュー)
 二人の女性が辿る性愛をシュルレアリスティックに描いた作品。

 処女の花嫁として資産家の元に嫁いだキャロルが辿る数奇な運命。マルクスの顔を船頭にあつらえた船に乗るアンナの異常な快楽行為。二つのエピソードが交互に描かれていく。倒錯的な性の世界に溺れていく姿は実に皮肉めいている。

 監督は異才D・マカヴェイエフ。低俗とインテリの共存が彼の作品の持ち味だが、本作からはその素養が存分に感じられる。

 のっけからテレビの公開オーディション番組。しかも、その内容が世界で一番美しい処女膜を持った女性を選ぶというもの。その後も公然猥褻や、エッフェル塔でのレイプシーン、更にはまだ精通もしてないような少年達に対するポルノティックな誘惑シーン等、ありとあらゆる描写で人間の欲望を描ききる。後半に入るとゲロ、糞尿まみれのスカトロ描写も加わり、低俗な乱痴気騒動は留まる事を知らず、見ていてかなりキツい。この下劣さはカルト映画の代表「ピンク・フラミンゴ」(1972米)の比ではない。

 一方で、マカヴェイエフのもう一つの素養、インテリ気質はと言うと、これまたアナーキーな思想を強烈にアジテーションし、見る側をビビらせるような”意地悪”な駆け引きをしてくる。本作の主役、キャロルとアンナは資本主義と共産主義のメタファーになっている。
 大富豪に捨てられたキャロルは、資本の原理に利用されるだけ利用され、ついには乞食の集落に身を落とし精神を崩壊させる。チョコレートまみれになりながら恍惚と喘ぐ姿はドラマチックだ。
 一方のアンナは革命の申し子である。死体を積んだサバイバル号、別称カール・マルクス号に乗って純情な少年達を革命の生贄として捕食しつつ旅を続ける。彼女もまた人生を崩壊させていくのだが、ラストショットが面白い。革命が夢に過ぎないと言う事を暗に示すかのごとく幻想的な締めくくり方になっている。

 二人とも最終的には悲惨な運命を辿るわけであるが、右も左も関係なく放逸な表現で彼女等を文字通り”汚して”しまうこのアナーキーな精神。おそらくは生真面目に社会派的なテーマを追い求める作家からすれば、実にけしからん!と言って怒りたくなるような内容だが、しかし同時にそれは痛快無比でもある。そこを笑えるだけの度量があるかどうかで、作品に対する評価も分かれてきそうである。
[ 2009/07/29 01:01 ] ジャンルコメディ | TB(0) | CM(0)

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