映画ありのまま

初めましてorこんにちは。
わりと気ままに映画の感想を(妄想を交えて!)書き綴っています。ぜひ楽しんでってください〜(´ー`)ノ 
(2008.4.15連絡事項)
少しずつですが記事が増えてきたので、50音字で検索出来るように プラグインを設置しました。
とはいっても、まだまだショボイですが‥。ぜひご利用ください。

ヒストリー・オブ・バイオレンス

2008.02.22(19:47)
クローネンバーグ作品は古い方が好きなんだけど、これは最近の中では出色の出来だと思う。
ヒストリー・オブ・バイオレンスヒストリー・オブ・バイオレンス
(2006/09/08)
ヴィゴ・モーテンセン、エド・ハリス 他

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「ヒストリー・オブ・バイオレンス」(2005米カナダ)星4
ジャンルサスペンス・ジャンル人間ドラマ
(あらすじ)
 小さな田舎町でダイナーを経営するトムはごく平凡な男。妻と2人の子供と幸せに暮らしていた。ある日、ダイナーに強盗が押入る。ウェイトレスが殺されそうになった時、トムは反射的に強盗犯を射殺した。この事件がマスコミに取り上げられ、トムは一躍時の人となる。そんなある日、彼の元を黒服の男が訪ねてきた。彼はトムのことをジョーイと呼んだ。気味悪がるトムの妻は保安官にこのことを相談する。黒服の男の驚くべき素性が判明する。

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(レビュー)
 地味で人の良さそうな男がある事件をきっかけに自分の過去と対峙、そこから信じられない事実が判明する。彼と家族はその事実に翻弄されていく‥という葛藤劇を時に静かに時に過激に綴った異才D・クローネンバーグのサスペンス作品だ。

 彼本来の持ち味であるグロいビジュアルはここではそれほど目立っていない。今回は人物の内面に重きを置いた作りになっている。しかし、クローネンバーグが描くとやはりそれすらも気色が悪い。

 現実と虚構、現在と過去、平穏と戦い、トムにとっての二元論がドラマの骨子を形成している。二つに引き裂かれる中で、彼のアイデンティティー追求のドラマが展開されていく。
 クローネンバーグ作品はこれまでにも何本も見ているが、アイデンティティー追求は彼にとっての定番テーマである。またそうきたか‥と思わずニヤリとしてしまった。

 白眉はラストシーンだ。トムの葛藤劇はこのラストシーンに集約されているといっても過言ではない。決して安易に救いを提示するわけではない。重厚さに溢れ感動的だ。
 そして、ヒーローが所詮偶像に過ぎないということも暗に示唆している。ヒーローの影に犠牲あり。必ず嘆く者が存在することを、このラストシーンは教えてくれている。

 ヒーローの偶像化という意味で言えば、もう一つ興味深く見れたサブエピソードがある。トムの息子ジャックの暴力主義への傾倒である。ジャックはいわゆる虐められっ子で、町のヒーローになった父に憧れを抱くようになる。その憧れが彼を虐められッ子から過剰な暴力主義者へと変貌させてしまう。暴力の感染という捉え方も出来よう。この変貌がドラマチックに描かれている。説得力をもたせたという点においても見事な構成だと思った。

 朴訥とした小市民の顔でトム役を演じたV・モーテンセンの抑えた演技がキャラクターに深みを与えている。中々の好演。

 惜しむらくは、所々に突込み所があることだ。人物の内面描写はリアリティーがあるのだが、事件や背景に関してはリアリティーに欠ける。このあたりをどう捉えるかが作品に対する評価の分かれ目かもしれない。現代における寓話として捉えるならばOKだが‥。

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