ディックの原作を上手く膨らました快作。寺沢武一の「コブラ」の元ネタがこんなところに。
「トータル・リコール」(1990米)
ジャンルSF・ジャンルアクション
(あらすじ) 西暦2084年、人類の生活圏が火星にまで到達した時代。地球に住むダグは、毎晩火星の悪夢に悩まされていた。火星に行った事など無いのに何故‥?巷では夢の記憶を売るリコール社が流行っていた。興味を持った彼は、そこで火星の疑似体験旅行を買う。ところが、体験中にアクシデントが発生し、謎の組織から命を狙われることになる。命からがら帰宅すると、今度は愛する妻からも殺されかけた。彼女から驚くべき事実を聞き出したダグは、自分が大きな陰謀の渦中にいる事を知る。
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(レビュー) 自分の記憶を取り戻そうとする男の戦いを、ハードな映像で綴ったSFアクション作品。
今見るとこの世界観は地味な感じも受けるが、逆にそこが味わい深かったりする。CGではなくフルセットで作られた火星の町並みが素晴らしい。ある種西部劇テイストも臭うのだが、こういう”すすけた”感じは中々味があって良いと思う。
監督はP・ヴァーホーヴェン。元々棘のあるビジュアル演出をする監督だが、本作もバイオレンスシーンはかなりエグい感じで撮られている。中でも、地下鉄の追跡シーンに登場する”人壁”の扱いといったら酷いもので、この辺りのブラック・ユーモアは好き嫌いが分かれそうだ。しかし、これこそがヴァーホーヴェンの持ち味。彼の資質を知る者としてはニヤリとさせられた。
また、特殊メイクを担当したR・ボッディンも良い仕事振りを見せている。顔面破裂はトラウマになりかねない恐ろしさで、ほとんどホラー映画的な演出だが、元々この人はホラー畑から出てきた職人である。火星に乗り込んだダグが変装を解くシーンも素晴らしいSFXで、これはSF映画史に残る名シーンだと思う。
原作はP・K・ディックの短編小説である。短い原作を2時間のボリュームに膨らませて映画化している。自分は一体何者なのか?という実存主義的なテーマはいかにもディックらしく、このテーマを上手く映画独自の物語に組み込んでいると思った。
特に、中盤で火星の世界が現実なのか虚構なのか?ダグに謎かけするようなシーンが出てくるのだが、これは秀逸だと思った。この謎かけが最後まで付きまとい、結果として映画のラストを巡って二通りの解釈が出来るようになる。果たしてこれまでの冒険は現実だったのか?夢だったのか?後を引くエンディングがとても面白い。
後半からドラマはスケールアップしていき、火星の命運を巡る話になっていく。ここで登場するマッガフィンも上手くサスペンスを引っ張っていると思った。
ただ、アクション主体で押しまくったせいで、かなり乱暴な展開になっていることは否めない。力で押し切るだけの大味な展開になってしまい、このあたりは主演=シュワちゃんだから‥ということで割り切るしかなかろう。
寺沢武一の「コブラ」の元ネタ?
コブラ連載終了はトータルリコールの6年も前ですよw
逆なのでは?
確かに「トータル・リコール」は寺沢武一の「コブラ」の後に作られた作品です。
ただ、原作「追憶売ります」は、「コブラ」の連載よりも前に発表されています。ちなみに、原作の冒頭は映画とほぼ同じです。
自分は「コブラ」→「追憶売ります」→「トータル・リコール」という順で知りましたが、「追憶売ります」から「コブラ」の第1話をすぐに思い出しました。「トータル・リコール」を見た際も然り。
尚、寺沢武一、ヴァーホーヴェン、両者とも3作品の内容に関する何らかのコメントはしていないように思います。
おはようございますありのさんいつもお世話になっています。そして、映画マニアさんへ初めまして。僕は、6月18日月曜日にある映画作品を見るついでに、今後公開される作品のチラシを集めて情報収集をしていたところ、この作品のリメイク版が8月10日金曜日に公開されると、知って驚いています。オリジナル版に出てきたリコール社は変わらないのですが、舞台が地球と火星から地球になっていたり、「リコールマシン」で「謎の未知なる力」を得たという新たな設定が付け加えられています。最近になって、この作品の公式サイトそして公式の予告編が解禁されたそうですが、実際に公開された時にはどうなっているのでしょうか?この作品の監督と主演は、レン・ワイズマンさんとコリン・ファレルさんだそうです。
こんばんは。にょろ~ん。さん。
リメイク作は前の作品とは内容が少し異なるようです。前のファンはそのあたりをどう見るのか?気になりますね。
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