ニュー・ボンドに拍手!
「007/カジノ・ロワイヤル」(2006米)
ジャンルアクション・ジャンルサスペンス・ジャンルロマンス
(あらすじ) イギリス諜報部員ジェームズ・ボンドは、ダブル・オーの称号に昇格するために暗殺を遂行する。これによって彼は”007”の称号を得た。次に下された指令は、爆弾テロの阻止とその資金源を突き止めるというものだった。早速マダガスカルへ渡った彼は、爆破犯を追い詰め黒幕に繋がる手がかりを得た。それを元に今度はバハマへ飛ぶ。そこでボンドは第二のテロ計画の阻止に奔走することになる。
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(レビュー) 「007」シリーズ第21作。6代目ボンドはD・クレイグ。ハードでタフネスなボンド像を作り上げ、旧作のイメージを一新している。これまでのスマートなボンドを見慣れていた分、今回のクレイグ版ボンドは新鮮に見れた。
アクションは終始ハード路線を貫く。冒頭の追跡劇からしてとにかく走りまくる。空港のアクションシーンもスリリングで面白かった。リアリズムには欠けるが、ここ最近の破天荒なアイテムを登場させてのアクションに比べれば十分手に汗握るシーンになっている。
また、これまでのシリーズと一線を画すと言えば、ロマンスに重きを置いたドラマ性だろう。後半のカジノ・ロワイヤルで行われるポーカー対決に、ボンドのパートナーとして女性諜報員ヴェスパーが派遣される。彼女と交わす熱愛が中々魅せる。会話にほど良い洒脱さが加わり、大人の色香、恋の駆け引きの醍醐味が存分に感じられた。例えば、ポーカー対決に臨まんと互いの正装を見立てる所などはクスリとさせられた。ボンドの求めをかわすヴェスパーのしたたかな振る舞い。男女のセンスの違いを見せながら、二人のすれ違いを上手く表現していると思う。
しかし、この映画。ポーカー対決までは盛り上がったのだが、その後が少し退屈してしまう。捕り物が一件落着することで、ドラマの求心力は失われる。後は、ボンドとヴェスパーのロマンスをどうまとめるか‥ということになるのだが、ここが冗長である。ボンドの拷問シーンは斬新であり、色んな意味で面白いのだが、もう少し上手くまとめて欲しかった。
おそらくヴェスパーの心理に迫ることで、悲恋の意味合いをもっと強く打ち出す必要があったのではないだろうか?ボンドから見たヴェスパーの心理でも良い。ここをピンポントに描ければ、もっとカタルシスが出たように思う。
脚本に3名のシナリーライターがクレジットされているが、素晴らしく良く出来ている部分と余り感心できない部分と、全体的にちぐはぐな印象を受けた。複数のライターが共同で執筆することはハリウッドではシステム化された手法だが、正直このやり方には良い面と悪い面があるように思う。相乗効果的に止揚される場合もあれば、逆に散漫でインパクトを失う場合もある。今回は残念ながら余り上手く行ってないような気がした。
ありのさんへ、今晩は。この作品は、「007/慰めの報酬(原題quantumofsolace) DVD blu-ray発売中(発売元20世紀fox home entertainment japan)」と合わせて見ると面白いですよ。もともと、この「カジノロワイヤル」という作品は、1967年に公開された「パロディ映画」だったそうです。(DVDの2枚目の特典ディスクに1967年版に関する、バーバラ・ブロッコリさん(プロデューサー)のコメントは貴重です。)
「慰めの報酬」はこの作品の続編ですね。興味があるのでぜひ見てみようと思います。
今回はオリジナルがパロディ作品だけに、見る前からある種の不信感があったのですが、そうきたか‥思わず頭を垂れてしまいました。また、当時の製作状況などを調べてみると、深い楽しみ方も出来るのかもしれませんね。
ありのさんへ、今晩は。この映画で一番ショッキングだったのは、ボンドが何者かに毒を盛られて死にかける場面があったそうですが、そういえば、「リビングデイライツ」で飲み物に麻酔薬を入れられて失神するボンドの姿が描かれいたのを覚えています。少しがっかりしたのがボンドカーのアストンマーチンDBSで、備え付けらている装備が「赤と青の万年筆型解毒剤入り簡易注射器(解毒剤は2種類。青いほうはジキタリス系の毒に効果を発揮するが、赤いほうは詳しい説明がなかったため不明。)」と「AED/自動体外式除細動器」と「銃の収納スぺース」だけなんて…。寂しさを感じました。
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