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ゾラの生涯

ゾラの人物像を知るという意味で興味深く見る事が出来た。
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(2005/02/25)
ポール・ムニジョゼフ・シルドクラウト

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「ゾラの生涯」(1937米)星3
ジャンル人間ドラマ・ジャンル古典
(あらすじ)
 1862年パリ。作家エミール・ゾラは、画家のセザンヌと屋根裏暮らしをしながら成功を夢見ていた。彼の作品は反体制的なものが多く、そのせいで検閲官に睨まることもしばしば。そんな彼が大手出版社に就職し結婚することになった。ところが、上司と喧嘩をして退職。腐っていたある日、カフェでナナという娼婦と出会う。ゾラは彼女の半生を本に書いて、これがベストセラーとなった。成功した事で自堕落な暮らしに溺れていくゾラ。盟友セザンヌはそんな彼を見て一人寂しくパリを去って行った‥。その頃、世間は陸軍参謀の不祥事事件で沸いていた。ゾラはセザンヌと誓った初心を思い出し、この事件の真相を暴く記事を書く。
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(レビュー)
 作家エミール・ゾラの半生を綴った伝記映画。

 「嘆きのテレーズ」(1952仏)、「居酒屋」(1956仏)、「マニフェスト」(1988米ユーゴスラビア)等、ゾラの小説を映画にした作品は幾つか見た事がある。市井の貧しさ、ブルジョワや体制に対する批判が一つの特徴のように思う。何故彼がそういうスタンスで作品を書くようになったのか。それがこの伝記映画から率直に伺える。彼自身貧しい出自であり、貧富社会の理不尽さを身をもって体験しており、だからこそブルジョワや体制に対する憤りと告発があったのだ。

 映画は最初の30分程で早々にゾラのサクセスを描ききってしまう。やや性急と思いながらも、ドラマはここからじっくりと腰を据えて語り始めていく。陸軍参謀のスパイ容疑事件が起こり、その身代わりとして終身刑になった男をゾラが救うという話になっていく。

 作家として成功した彼は、それまで否定してきた富や名声に溺れ俗物に落ちぶれるのだが、盟友セザンヌの言葉に支えられ正義の火を心に灯す。不正を暴こうと、スパイ容疑事件を告発するのだ。孤軍奮闘する姿は実に尊いものに思えた。

 伝記映画の中には全生涯を網羅し、結果的に散漫な印象しか残らないというような作品もあるのだが、本作のように一つのエピソードに焦点を当ててじっくりと語るというやり方もある。おそらくはそうした方が作品はドラマチックなものとなり、またその人物像を最も効果的にアピールするという意味では上手くいくのではないかと思う。この映画の場合、名声を捨て自分の信念を取り戻す晩年に焦点を当てることによって、ゾラが持っていた元々の信念、芸術家としての生き方が見事に表現されている。

 ただし、後半から肝心のゾラの存在感が薄くなってしまうのは残念だった。彼は軍を中傷した罪で起訴されるのだが、徐々に脇役である弁護人の方に物語の目が向いてしまう。この法廷闘争はむしろゾラの視点で描いた方が、ドラマに力強さが生まれたのではないだろか?感動的なドラマであることは確かだが、作劇の面で今ひとつ弱いのが残念だった。
[ 2009/10/24 01:04 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(0)

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