気軽に見れるところが良い。
「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」(2002米)
ジャンルコメディ・ジャンルサスペンス
(あらすじ) 1960年代、高校生フランクは両親の離婚にショックを受け、家を飛び出して詐欺師になった。パイロットに成りすまして偽造小切手を使って方々で大金をせしめた。それをFBI捜査官カールが執念の捜査で追い詰める。しかし、後一歩というところで逃げられてしまった。その後もフランクの手口は益々エスカレートしていき、今度は医者に成りすまして結婚詐欺をはたらこうとする。
DMM.comでレンタルするgoo映画映画生活ランキング参加中です。よろしければポチッとお願いします!


(レビュー) 10代の天才詐欺師と中年FBI捜査官の追跡劇を描いた実話ベースのドラマ。
ギャンブルはハッタリが肝心。フランクは正にそれを実践していく。彼が詐欺師になったのは父親の影響である。商売をしていた父は成功と転落の人生を歩んだ。その生き方は正にハッタリだった。結果的に父は破産してしまうのだが、フランクは父の二の舞になるまいと、敢えて父を越えようと詐欺師に転じていく。様々な職業に成りすまして大金を騙し取っていくのだが、この映画はそこの部分が痛快で面白く見れる。
冒頭のフランス語の臨時教師に始まり、パイロット、医者、弁護士。まだ高校生でありながら自信に満ちたその変幻振りには参りました‥という感じである。これをL・ディカプリオが好演している。元々童顔であるので高校生と言われても十分通用するし、年相応の大人の顔も出来るのでこのキャラクターに全く違和感は感じられなかった。
対するFBI捜査官カールはT・ハンクスが演じている。こちらも好演と言っていいだろう。少し優しすぎるところがこのキャラクターの魅力であり、そこを上手く引き出しているように思えた。フランクに言いように振り回されるこのトホホ感は「ルパン三世」の銭形警部のようで、何とも人間味があって良ろしい。
騙しの手口は少し無理に見えるものもあるが、偽造判別機器が未発達だった当時の状況を考えれば一定の説得力は備わっている。また、コメディという事を考えれば、このくらいの”緩さ”なら許容範囲ではないだろうか。航空会社の社員小切手を偽造するアイディアは秀逸だった。
ただ、ドラマは中盤からフランクと両親のドラマに照射されていくことで、捕り物としての醍醐味は失速する。おそらくは、フランクとカールの間に芽生えた友情、飛躍して解釈すれば擬似親子関係、この部分のペーソスを引き出そうとしたのだろうが、カールの人物像への踏み込みが不足しているせいで今一歩感動までには至らない。コメディに徹するのか、ペーソスに徹するのか、どちらか一方に絞って描くべきだったのではないだろうか?素材が面白かっただけに、このあたりの中途半端さが惜しまれる。
監督はS・スピルバーグ。今回は肩の力を抜いて作っているような感じがした。見る方も気軽に見れる作品になっている。また、60年代を再現した映像はほぼ完璧に近い表現で、プロダクションデザイン、ファッションデザインに関しては申し分ない出来栄えである。