滑り出しは良かったが‥。
「イングロリアス・バスターズ」(2009米)
ジャンル戦争・ジャンルアクション
(あらすじ) ナチス占領下のフランス。ユダヤ・ハンターの異名を取るハンス大佐によって家族を殺された少女ショシャナは、身分を隠して小さな映画館を経営していた。ドイツ軍の若き英雄フレデリックに出会い、彼女の復讐劇が始まる。一方、連合軍のアルド中尉率いる極秘部隊イングロリアス・バスターズは各地でナチスを血祭りに上げていた。彼等にヒトラー暗殺命令が下される。
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(レビュー) 特殊部隊イングロリアス・バスターズの活躍と、ユダヤ狩りにあった少女の復讐劇を描いた戦争アクション映画。
監督・脚本はQ・タランティーノ。今回も彼らしいワンマン映画になっている。例えば、オープニングシーン。まるでS・レオーネ映画のような”睨み合い”がピリピリとした緊張感を生んでいる。マカロニ好きなタランティーノらしい演出で、物語のフックとしては申し分無い出来栄えである。
その後、ドラマはイングロリアス・バスターズの紹介に写る。ドイツ兵をを殺して頭の皮を剥ぐ残虐行為には驚かされたが、ここでもタランティーノの悪ノリ(?)がすこぶる快調だ。イタリアン・ホラーのような悪趣味さがある。
その後ドラマは4年後に飛び、ショシャナのパートに移る。ここから本格的にドラマは動いていくのだが、残念ながらここを境にガクンとテンションが落ちてしまった。彼女の復讐とバスターズの活躍がどうリンクされ、最後にどうカタルシスを呼ぶのか?そこを期待したのだが、クライマックスのアイディアは良いものの、いかんせん突き抜けるような興奮は感じられない。消化不良な感じを受けてしまう。
思うに、大きな原因が二つあるように思う。
ショシャナの復讐劇の裏でロマンスが描かれるのだが、ここが弱い。というか、ほとんど言及されないことに不信感を覚えてしまう。復讐の動機は冒頭で明示されているものの、それから4年の間、彼女の中でどうそれが増幅されていったのか?それがこのロマンスに投影されてしかるべきなのに、まったく無いのである。ドラマの点と点を結ぶ”線”が描かれていないため、ラストの彼女の非情な行動もまったく熱度が伝わってこない。
もう一つは、ブラピ演じるアルド中尉の造形に原因がある。コメディライクな演技は面白く見れたが、いざ処刑人としての顔は‥というと、これがかえって邪魔になっているような気がしてならない。あるいは、見ているこちら側の羨望を敢えてはぐらかそうとするタランティーノ流の意地悪な演出なのかもしれないが、そうだとしたら何てつまらん‥と思ってしまう。「映画?アメリカのギャング映画しか見たことないぜ!ジェームズ・ギャグニーが一番に決まってんじゃねーか!」といったくらいの洒落たセリフの一言でも喋らせて欲しかった。目には目を、歯に歯を、映画には映画を。クライマックスが放つ意味もグンと皮肉が効いてくるし、尚且つ彼のユーモアがアウトローとしての魅力を輝かせると思うのだが‥。
このように今回のタラ映画は、肝心なところの詰めの甘さが散見できガッカリさせられた。
ただフォローの意味も込めて言うが、先述のオープニングシーンのように、処々のシーンによっては面白く見れるところもあるので、決して全てが落胆するような出来になっているわけではない。
例えば、居酒屋のシーンは緊張感があって良かった。ここは「レザ・ボア・ドッグス」(1991米)に似たゾクゾクするような興奮が味わえた。
また、敵であるハンス大佐のキャラクターも中々良かった。穏やかな笑みを浮かべた冷酷で卑怯なサディストである。時に、観客が予想しないようなユーモラスな演技を見せたりもする。どこかで頭のねじが外れているとしか思えない、そんな所作にブラピは完全に食われているようにさえ思えた。本作の真の主役は彼ではないだろうか。
久しぶりの、タランティーノ(キルビル/vol.1・2でおなじみ。)作品ですか…。しかも来日記者会見で、タランティーノ監督とブラッド・ピットさんらにまじって、ジュリー・ドレフュスさんが、流暢な日本語で取材陣の受け答えに一つ一つ答えていたのが印象的でした。それから予告TV-CFで観たのですが、「面白くなかったらお金返します!」という配給会社の強気の営業戦略は凄いとしか言えない。追伸ありのさんへ、この映画の映倫規定(レーティング)規定はR15+だそうです。
返金の話は後から知りました。ユニークな宣伝方法ですね。
しかし、本当に途中で見るのを止めて「つまらなかったから映画代返してください」という人はあんまりいないような気がするのですが、どうでしょうか?
日本人の性格からすると、何だか気が引けて躊躇してしまう人が多そうな気がします。
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