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狂い咲きサンダーロード

勢いだけで押しまくったパンクな傑作!
狂い咲きサンダーロード コレクターズ・エディション [DVD]狂い咲きサンダーロード コレクターズ・エディション [DVD]
(2009/03/06)
山田辰夫中島陽典

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「狂い咲きサンダーロード」(1980日)star4.gif
ジャンルアクション・ジャンル青春ドラマ・ジャンルSF
(あらすじ)
 暴走族が支配する夜の街。無為な抗争に終止符を打とうと各グループのリーダーが一同に集まった。そこに魔墓狼死の特攻隊長仁とその一派が乱入する。仁の暴走行為に頭を悩ました魔墓狼死は、OBで右翼団体のオルグ剛の力を借りることにした。一度ははむかった仁達だったが、全グループの圧倒的な戦力を前にして非情な現実を突きつけられる。死傷者を出した所で、彼等は剛の右翼団体の傘下に収まる。
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(レビュー)
 思考停止な”ぬるま湯社会”に強烈なカウンターを食らわす暴走族少年の生き様をエネルギッシュに描いた青春映画。

 監督・脚本は石井聰亙。持ち味のパンキッシュな作風が前面に突出した怪作であり、画面狭しと大暴れする若者達の破壊っぷりが”どなた様にも遠慮なく”繰り広げられている。特に、クライマックスはもうほとんど喧嘩祭り状態(^_^;)

 映像は基本的に一昔前のPV的な作りが多くバタ臭く感じるが、手持ちカメラによるライヴ感と、時折見せるアヴァンギャルドな構図等、奔放さに溢れている。見ようによっては拙く写る部分もあるのだが、逆に言えば設計され尽くされた既存の演出とかけ離れた奇妙な魅力も感じる。また、インダストリアルな音の演出も、”映画=体感する”ものとして捉えれば、冒頭のシーンなどはゾクゾクするような興奮が感じられた。

 物語は最初の1/3は平板で退屈した。面白くなるのは右翼団体が登場して以降である。
 このドラマはあらゆるものに牙を向く不良少年と、それを押さえ込もうとする大人社会の対立構造によって出来上がっていると思う。大人社会の最たるキャラクターが右翼団体のオルグ剛であり、以降のドラマは彼との対決のドラマになっていく。テーマの芯がしっかりと立ち始めるので、二人の関係がどう転じていくのか?そこを一つの見所にして興味深く追いかけていく事が出来た。
 その顛末は実に印象的だった。社会に与されることに少なからずフラストレーションを持つ者ならば、眩しく写るのではないだろうか。

 仁役は本作でデビューとなる山田辰夫。ギラついた狂気の眼差し、悲痛な怒声が、強烈な印象を残す。何者にも取り込まれない一匹狼気質な尖った不良少年の生き様を、ひたすら刹那的に体現しており、特に後半、魂の抜け殻になって以降の狂気の演技は凄まじい。

 監督の石井聰亙は、以後もこの作風を貫き通している。先立って見た「逆噴射家族」(1984日)も凄い映画だったが、本作を見てしまうとまだまだ甘っちょろく思えてしまう。近作の「DEAD END RUN」(2003日)は小手先のテクニックに溺れてしまった感があるし、「ELECTRIC DRAGON80000V」(2000日)は確かに石井聰亙のロック魂が感じられる作品だったが、どうも実験映画的過ぎてしまう。それらに比べると、本作はドラマの破綻や演出の稚拙さはあるものの、映画作りの情熱、もっと言えば石井聰亙のパッションが詰まっていると言えるのではないだろうか。客観的な評価を寄せ付けないカルト映画の典型のような作品である。
[ 2009/12/25 00:40 ] ジャンルアクション | TB(0) | CM(0)

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