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愛と希望の街

明けましていきなり重~い作品‥。
愛と希望の街 [DVD]愛と希望の街 [DVD]
(2006/03/30)
渡辺文雄富永ユキ

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「愛と希望の街」(1951日)星3
ジャンル青春ドラマ
(あらすじ)
中学生正夫は、病気の母と知能障害の妹と鳩を売って暮らしている。ある日、大企業の一人娘京子が正夫の鳩を買っていった。その後、売った鳩は正夫の元に戻ってきた。初めから鳩の帰巣本能を利用した詐欺だったのである。戻ってきた鳩を正夫はまた売りに出した。京子はそんな事を知らずに正夫と親交を深めていく。時が経ち、正夫にも進路の時期がやって来た。母は高校に行かせようとするが、苦しい家計を救うため正夫は就職を希望した。担任教師秋山はその思いを察して、京子の父が経営する会社に面接試験を嘆願するのだが‥。
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(レビュー)
 鳩売りをする貧しい少年とそれを助けようとする周囲の人々の姿を描いた青春ドラマ。

 実にやるせない思いにさせられる映画である。確かに正夫の鳩売りは明らかに詐欺行為である。しかし、それは社会的弱者に許される一定の免罪符と言って良いのではないだろうか‥と思った。騙し取る金額はたかが知れたものであるし、そうしなければ家族共々飢え死にしてしまう。情状酌量があってしかるべき。彼の行動を見てそう思った。

 しかし、映画は厳しい現実を彼に突きつける。法的に言っても、社会の規範から言ってもこれは罪にあたる。よって裁かれるべきである‥と言い放つのだ。
 結局、この社会を作り上げるのは、常に富裕層である強者なのである。正夫達弱者は切り捨てられて当然、地面に這いつくばって生きよ。それが現実なのだろう。本人達からしてみれば実に気の毒な裁定だが、それが通らないのがこの社会なのである。

 監督は大島渚。道徳的な物言いに作家としての青臭さが感じられるものの、社会に対する問題提起という意味では実に野心的な作品になっている。これほどの問題作を処女作にして撮ってしまうのだから、大した監督だと思う。貧困層と富裕層の対比は、後の「日本の夜と霧」(1960日)の階級闘争的なテーマにも繋がる。ただ、主たるテーマは人間の価値観の脆さ、裁量の難しさといったものであり、「日本の夜と霧」に比べると政治色は薄い。したがって、本作の方がより普遍的で身近に感じられた。

 更に、本作では罪の裁量の難しさというテーマに絡んで、もう一つ面白く見れることがあった。それは秋山と京子、二人のヒロインの正夫への接した方の違いである。
 担任教師・秋山は、正夫を見守りながらひたすら救いの手を差し伸べる。教師の鑑のような振る舞いを最後まで貫き通し、彼女なりの善意がひしひしと伝わってきた。
 一方の京子は、正夫に淡い恋心を抱きながら、自分の父の会社へ就職を斡旋する。しかし、彼女は最後の最後で正夫を突き放す行為に出る。何故、彼女はガラリと態度を変えてしまったのだろうか?もしかしたら、鳩売りの一件で裏切られた‥という思いがあったからなのかもしれない。ただ、その一方でこれは彼女なりの善意の表れだったのではないか‥という風にも思える。優しい愛情で包み込む秋山と違い、京子は突き放すことで本人の立ち直りのきっかけを与えたのではないだろうか?言わば、彼女なりの愛の鞭である。

 こう考えてみると、秋山の善意は果たして本当に正解だったのかどうか、分からなくなってくる。もしかしたら、ただの甘やかしなのではないか?教師なら生徒の詐欺行為を厳しく諌めるのが本当なのではないか?‥そんな気もしてしまう。
 「善意」という言葉は響きは良いが、その真意を探ると真逆の意味に辿り着く場合もあるから恐ろしい。
[ 2010/01/05 01:00 ] ジャンル青春ドラマ | TB(0) | CM(0)

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