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戒厳令

実録ドラマならではの重み。
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(2002/04/26)
イヴ・モンタンO・E・ハッセ

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「戒厳令」(1973仏伊)星3
ジャンル社会派・ジャンルサスペンス
(あらすじ)
 南米某国。アメリカ人技師サントーレとブラジル領事が革命派に誘拐される。革命派は政治犯を釈放するよう声明を発表した。早速、マスコミは事件の渦中にあるサントーレなる人物に注目した。政府の要人でもない彼が何故誘拐されたのか?政府は何も語らなかった。一方、サントーレと領事は地下のアジトに監禁される。革命派のリーダーの尋問から恐るべき真実が判明してくる。
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(レビュー)
 テロリストに誘拐されたアメリカ人サントーレの恐怖と、そこから見えてくる恐るべき国家的陰謀を、緊張感溢れるタッチで描いたサスペンス作品。尚、このドラマはウルグアイで実際に起こった事件が元になっているということだ。

 監督は社会派C・ガヴラス。このブログでは以前「Z」(1969仏伊)という作品を紹介したが、見る者をグイグイとひき込む力強い演出が彼の特徴で、本作も終始緊張感がみなぎる作品になっている。

 映画はサントーレの死体が発見された所から始まる。そこから1週間前に遡り、ドラマが回想されていく。突然何者かに拉致されるサントーレ。その恐怖をカメラはドキュメンタリータッチで見せていく。彼が殺されることは分かっているので、ドラマの興味は何故彼が誘拐の標的になったのか?いかなる人物なのか?そこに焦点を当てて展開されていく。これらの謎は革命派の尋問によって徐々に明るみにされていくのだが、実話ベースということ考えるとちょっと怖くなってしまう。本当にこんな事があったのか‥と。「Z」で恐怖政治の実態を暴いたガヴラスだから、この手の題材はさもありなん‥といったところだが、改めて彼のジャーナリスティックな視点に驚かされてしまう。

 映画はサントーレと革命派の丁々発止のやり取りを描く一方で、誘拐事件に揺れる政界騒動も捉えている。主に国会での紛糾が中心となるのだが、そこに政治の無力さ、政局しか頭にない役人の些末さが見えてきて面白い。いかにもガヴラスらしいシニカルな視線が感じられた。

 ただ、映画を見ていて若干不満に思ったこともある。物語の視点はドラマを語る上で重要だと思う。本作には二つの視点があって、これがどうにも作品を散漫にしてしまっている。このドラマは革命派サイドからの視点なのか?あるいはサントーレからの視点なのか?それがはっきりとしない。革命派であれば革命の使命を深く追求すべきであり、サントーレであれば徹底的に彼の恐怖を描く必要性があったのではないかと思う。これではどっちつかずの印象だ。

 尚、印象に残るセリフがあったので記しておく。
 最後の日、つまりサントーレが殺される日。彼は革命派の監視員に向かってこう言う。
 「私を殺せば君達は無能だ。しかし、私を殺さなければ君達は負けだ。」
 サントーレのこの言葉は、革命派にとっても、そして彼自身にとっても余りにも無情な言葉だ。この誘拐劇が、この期に及んで無に帰してしまったことを言い当てているからだ。そして、この言葉は革命の意味についても考えさせる。もしかしたら、”革命”などというものは、ただ虚無の中に反復される”亡霊”のようなものなのかもしれない‥と。実にやりきれない思いにさせられた。
[ 2010/01/18 00:35 ] ジャンルサスペンス | TB(0) | CM(0)

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