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ピクニック

メインとなる話は今ひとつだったが、サブキャラに魅せられる。
ピクニック [DVD]ピクニック [DVD]
(2006/12/20)
ウィリアム・ホールデンキム・ノヴァク

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「ピクニック」(1955米)星3
ジャンルロマンス
(あらすじ)
 成功を夢見てハリウッドへ渡った青年ハルが無一文になって田舎町に流れ着く。大会社の御曹司、親友アランを頼ってきたのだ。来て早々ハルは村で一番の美女マッジに一目惚れする。しかし、彼女がアランの婚約者だったことから友情はギクシャクとしたものになってしまう。この日は村の伝統の祭があった。ハル、アラン、マッジは複雑な思いを抱えたまま、その祭に参加する。さらにそこにマッジの妹ミリー、マッジの家の下宿人で独身女教師ロ-ズマリーも同行することになった。最初は和気あいあいとした雰囲気で楽しく過ごすが‥。
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(レビュー)
 夢に挫折した孤独な男と家族に縛られて生きる薄幸なヒロインのロマンスを、周囲の人間模様を交えて描いた作品。

 前半は祭りの前の高揚感も相まって朗らかなトーンで綴られる。後半から祭の場面になるのだが、ここから夫々の愛憎を軸にしたシリアスドラマに転じていく。前半と後半でトーンの不一致に若干の違和感を覚えた。どちらかというと、個人的にはシリアスなトーンを貫く後半の方が面白く見れた。

 ハルとマッジ、アランの三角関係はいたって平凡なメロドラマで、取り立てて目新しいものは無い。しかし、本作にはサブキャラの葛藤を捉えたサイドストーリーが織り込まれていて、そちらのほうは大いに見応えがあった。マッジの妹ミリー、中年女教師ローズマリー。夫々の苦悩にカメラは容赦なく迫っていく。

 ミリーは姉マッジほど器量も良くないし、何のとりえもない普通の少女だ。容姿に対するコンプレックスが自らの存在を貶めている。突然現れたハルにほのかな恋心を抱くが、それすらもマッジに奪われてしまい、彼女のささくれ立った心はいよいよ後半の祭りの場面で表面化していく。怒り、悲しみといったネガティブな感情の噴出が痛々しく写り、実に不憫な娘に思えた。ただ、映画は最後に彼女に救いの手を差し伸べて終わっている。少女から大人の女性への”ささやかな成長”。それが確認できたところに見ているこちらも救われた感じがした。

 ローズマリーは、前半と後半のトーンの切り替え役を担うキャラクターである。言わば、ドラマを暗転させる起爆剤のような役回りで、彼女自身のキャラも180度の変貌を見せる。彼女は元々聡明な教師像、男に屈しない強い女性像を堅持することで、婚期を逃したという負けキャラを武装している。そこがどこか頼もしくもあり、少しコミカルだったりもしたのだが、後半ある事をきっかけにその明朗さは脆くも崩れ去る。見るも無残な醜態、情けない年増女の欲求不満が曝け出され、見ていてこれまた痛々しく写った。この落差は本当にショッキングだった。本作で一番印象に残ったキャラクターは実は彼女である。

 一方、メインであるメロドラマの方はかなり強引な形で締めくくられていて食い足りない。ミリーやローズマリーの極限的な葛藤を見せられた後だと、この結末はどうにも軽く写ってしまう。
 そもそもドラマがたった一日の出来事であることが大いにマイナス要因になっていると思う。このラストに持っていくまでには、本来幾つもの山あり谷ありの迷走があってしかるべきだ。たった一日の出来事として描くにはさすがに無理がありすぎる。前半のような軽いトーンが貫かれていればそれでも良かったのだろうが、いかんせん後半のシリアスさが良くも悪くも全てを決定付けてしまったように思う。
[ 2010/02/10 00:50 ] ジャンルロマンス | TB(0) | CM(0)

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