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ブラッド・ダイヤモンド

ディカプーの熱演と娯楽色豊かな所に見応えがある。
ブラッド・ダイヤモンド (期間限定版) [DVD]ブラッド・ダイヤモンド (期間限定版) [DVD]
(2007/09/07)
レオナルド・ディカプリオ. ジャイモン・フンスー. ジェニファー・コネリー. カギソ・クイパーズ. アーノルド・ボスロー

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「ブラッド・ダイヤモンド」(2006米)star4.gif
ジャンルアクション・ジャンル社会派・ジャンルロマンス
(あらすじ)
 内戦が続くアフリカのシエラレオネ共和国。ここはダイヤモンドが採掘される場所として有名だった。漁師のソロモンは愛する家族と引き離されて、反政府軍のダイヤモンド採掘場で働かされる。ある時、彼は大粒のダイヤモンドを見つける。それを人気の無い地面に埋めた。その時、政府軍の猛攻撃が襲い掛かってくる。反乱軍は鎮圧されソロモンは刑務所に収監された。一方、ダイヤモンドの密売人アーチャーも刑務所に投獄された。彼はソロモンがダイヤを隠している事を知り、その在り処を聞き出すために接近する。そして、行方不明の家族に引き合わせる事を条件にダイヤの隠し場所まで案内させることを確約させる。女性ジャーナリスト、マディーの助けを借りながら、彼等は内戦が激化する中をダイヤモンドを求めて出発する。
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(レビュー)
 死屍累々と化した戦場の中を、大粒のダイヤモンドを求めて旅をする男達のドラマ。アクション映画としての面白さ、社会派的なメッセージ。二つを併せ持った力強い作品である。

 ダイヤの密売人アーチャーは己のために、漁師ソロモンは失った家族を取り戻すためにこの過酷な旅を始める。人種の違い。守銭奴と実直な小市民。キャラクターのコントラストがこのロード・ムービーを面白く見せている。そして、途中から内戦のルポに使命感を燃やす女性記者マディーが加わることで、三者の思いが旅路の果てに交錯していく。若干マディーの心情が慈善に偏りすぎている気もするが、三者の思いは夫々に強く伝わってきた。

 国際的なマーケットであるダイヤモンド市場だが、そこに必要以上に切り込まなかった点も良かったように思う。作り手側としては、政治色を強めることで社会派的なメッセージを煽りたくなるものだが、そこはあくまでドラマの背景に抑えられている。基本的にはアーチャー達が巡る危険な旅をアクションあり、サスペンスあり、ヒューマンありの娯楽要素で引っ張って行っている。政治的なドラマではなく、あくまで個人のドラマとしてフラットな目線で見る事が出来るのが本作の良い所だ。特に、家族を取り戻そうとするソロモンの葛藤は普遍的なもので感情移入もしやすい。

 また、単なる拝金主義の俗物だと思っていたアーチャーも、後半からどんどん魅力的になっていくのも良い。ソロモンとの間に芽生える友情、マディーとのロマンス。こういったタッチングによって、孤独感、優しさがピックアップされていく。それによって、キャラクターの深みも生まれくる。例えば、アパルトヘイトの歴史を知っていると、後半のマディーとの会話から、彼の辿ってきた人生がいかに悲劇的なものだったかが推察できる。彼もまたアフリカという土地に鎖を繋がれた悲劇の人物なのである。このことを踏まえて見ると、彼の辿る顛末には泣かせるものがある。

 ただ、クライマックスだけは乱暴‥というか「ランボー」だった。突然リアリティを失い、アーチャーのヒロイックな活躍には興ざめするしかない。確かにスター映画的な側面を持つ作品であることは分かるのだが、最後まで作品のトーンをリアル寄りに保って欲しかった。それまで描かれてきた少年ゲリラ兵の非情な運命や民間人の虐殺といった戦争の厳然たる風景を無に帰してしまうような演出である。

 アーチャーを演じたのはL・ディカプリオ。これまでにないダーティーな役柄に新境地を感じさせる。同年に製作された「ディパーテッド」(2006米)でもそうだったが、荒々しさが増し新鮮だった。ハードな役を演じる事も出来ることが本作で実証されたと言っていいだろう。
[ 2010/03/05 02:26 ] ジャンルアクション | TB(0) | CM(0)

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