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約束の土地

堂々たる大作!
約束の土地 [VHS]約束の土地 [VHS]
(1992/02/21)
ヴァティスワフ・レイモンド

商品詳細を見る

「約束の土地」(1974ポーランド)star4.gif
ジャンル人間ドラマ・ジャンル社会派
(あらすじ)
 19世紀末、繊維工業が盛んなポーランドのウッチ。労働者は悪徳資本家に搾取され苦しい生活を送っていた。工場勤務で没落貴族の末裔カルロは、どうにかこの貧困を救おうと立ち上がる。ドイツ人の資産家の子息マックス、敏腕営業マンのユダヤ人モリツと共に、彼は新たな工場建設を計画した。ところが、旧態然とした業界ぐるみの抵抗にあい資金面に難航する。そんなある日、3人にとっての朗報が舞い込んでくる。アメリカからの綿の輸入関税が引き上げられるという情報を事前キャッチしたのだ。3人は早速綿の買い付けに奔走するのだが‥。
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(レビュー)
 3人の若き事業家の野心溢れる姿をドラマチックに綴った巨匠A・ワイダ監督の大作。
 当時のポーランドが共産国家だったこともあり、この映画には反資本主義的なアジテーションが盛り込まれている。多少辟易する部分もあるのだが、作品自体は大変見応えがあった。

 前半は資本家達の様々な悪行がトピックされている。労働者に対する人権を無視した酷い仕打ちは、見ていて実に痛ましい。例えば、経営者の慰み者になる年端もいかぬ少女のエピソードは余りにも悲劇的だ。やりきれない思いにさせられた。そして、映画はその一方で、饗宴に明け暮れ贅沢の限りを尽くす資本家達の傲慢さ、冷血といったものもフィーチャーしていく。

 この状況を変えようと立ち上がるのが、本作の主人公カルロ、マックス、モリツの3人の青年たちである。彼等は巨大な資本体制の枠組みの中で工場建設のために様々な策を巡らす。しかし、所詮は若年実業家。不況の煽りも受けてコトは思うように上手く運ばない。そして、彼等の夢は最後にドラマチックな結末を迎える。「創造」から「破壊」の急転同地の展開。これには思わず息を呑んでしまった。

 体裁として反資本主義的なメッセージに包まれているものの、このドラマをより純粋に受け止めようとするならば、それは若者の青春の光と影のドラマ‥ということになるだろう。若者達のレジスタンス活動を描いた”抵抗三部作”で一躍世界に注目されたA・ワイダのこと。やはり、本作で描かれる若者達の姿にも、体制に抗う反骨精神が存分に感じられる。それは正に若者の栄光と挫折のドラマだ。ワイダの追求するテーマは常に一貫している。

 また、映像演出に少し変わったトーンが持ち込まれているのは新鮮だった。広角レンズを多用した歪な画面は少しキッチュで不気味な雰囲気を出している。劇場のシーンや宴会のシーン、電車内の逢瀬のシーン等、猥雑でクレイジーな映像はどこかL・ブニュエル作品のようだ。そういえば、ブニュエルも「ブルジョワジーの密かな愉しみ」(1972米)で強欲な資産家達の狂騒を皮肉タップリに描いていた。本作の悪徳経営者達の姿との共通性が感じられる。
 その一方で、田園風景を捉えた幽玄的と言ってもいい景観はため息が出るほど美しい。他のワイダ作品では中々お目にかかれない映像美が本作では見られる。

 展開は実に軽快。3時間弱の作品だが飽きずに見ることが出来た。ただ、工場建設の資金集めの奔走にドラマが集中してしまうので、どうしても人物の内面への踏み込みが足りない。カルロ、マックス、モリツは人種も気質も異なる面白いトリオだっただけに、夫々の内面に踏み込んで友情ドラマをもう少し強めても良かったように思う。そうすれば後半の対立、融解の展開は更にドラマチックなものとして見れたかもしれない。
[ 2010/03/09 00:46 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(0)

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