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この道は母へとつづく

良心に満ちた作品だが、手厳しく見ると‥。
この道は母へとつづく [DVD]この道は母へとつづく [DVD]
(2008/08/08)
コーリャ・スピリドノフデニス・モイセーエンコ

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「この道は母へとつづく」(2005ロシア)星3
ジャンル人間ドラマ
(あらすじ)
 孤児院育ちの6歳の少年ワーニャは、養子縁組が決まり新しい両親が迎えに来るのを待っていた。先だって親友ムーヒンも養子として貰われて行った。きっと温かな家庭で幸せに暮らしているだろう。自分もきっと‥そんな期待に胸膨らませていたある日、孤児院にムーヒンの実母が我が子を返して欲しいとやって来た。すでに養子に出されたことを知ると彼女はショックを受けて自殺してしまう。ワーニャは動揺する。そして、実の母に会いたいと思い始める。
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(レビュー)
 母を求めて旅をする少年の物語。実話がベースになっているということだ。
 よくある話といえばそれまでで取り立てて目新しさは無い。しかし、こういった良心的な作品は今のような時代には特に必要とされているのではないだろうか。

 前半は孤児院の人間模様が興味深く見れた。
 孤児院では、年上グループと幼年グループの縦社会が構築されている。年上グループは盗みや売春をしながら独立生計を立てている。ワーニャは幼年グループに属しているが、このまま孤児院にいればいずれ彼等と同じ道を歩むことになるだろう。だから、里子に出されることは地獄に仏、非常にラッキーなことなのだ。まだ年端も行かない少年少女たちにこれほど過酷な「格差」を与えるとは‥。この現実は余りにも残酷すぎて胸を痛めてしまう。
 そんな孤児院に一際目立つキャラクターがいた。それは年上グループに属するイルカという少女である。彼女はトラッカー達に体を売って金を稼いでいる荒んだ少女である。すれっからしな反面、ワーニャに読み書きを教えたり、孤児院から脱走するのを手伝ってやったり、面倒見の良い一面も持っている。ギャップ萌えではないけれど、中々魅力的なキャラクターに思えた。残念ながら彼女は中盤で物語の舞台から退場してしまうのだが、その後の彼女をもっと見てみたかった気がする。

 後半は、孤児院を脱走したワーニャの旅のドラマになる。外の世界に出た彼は様々な出会いと別れを繰り返しながら成長していく。一人で生きることの厳しさ、人々の優しさを直に感じ取りながら、時には危険な目に合ったりしながら逞しく成長していく。実話がベースということもあり、波乱に満ちた‥とまではいかないが、中々起伏に富んだドラマで面白く見れた。

 ただ、この映画は中盤までは上手く作られているのだが、終盤に差し掛かるあたりから色々とご都合主義が見えてきてしまい、今ひとつ乗り切れなかった。
 その原因はドラマの視座にあると思う。この映画はワーニャの視座に固定されて展開されている。最終的にこれがこのドラマを偏狭的なものにしてしまった。もし、この結末にするのだったら、母親のドラマは不可欠だったのではないだろうか。そもそもワーニャが孤児になった経緯についてもよく分からない。母親がワーニャに対してどういう感情を持っていたのかも分からない。したがって、ここは母親から描いたドラマも交えて、母子の絆の再生というカタルシスに十分な説得力を持たせるべきだったのではないかと考える。

 他にも、幾つか作りの甘さで気になる点があった。例えば、ワーニャが手を切るシーンは伏線を要すべきだったろう。唐突に感じてしまった。また、終盤で知らされる港で発見されたという情報は、この場合かえって不要なものに思えた。

 メッセージは明快に発せられてるし、ロシアの現実社会を投影したところにも見応えがあったが、完成度という点で言えば色々と突っ込みを入れたくなってしまう作品だった。
[ 2010/03/19 00:54 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(0)

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