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ベルベット・ゴールドマイン

明らかにD・ボウイをモデルにしているが、映画は「虚飾」にすぎないことを皮肉的に語っている。
ベルベット・ゴールドマイン [DVD]ベルベット・ゴールドマイン [DVD]
(2003/12/05)
ユアン・マクレガージョナサン・リース・マイヤーズ

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「ベルベット・ゴールドマイン」(1998英)星5
ジャンル青春ドラマ・ジャンル音楽・ジャンルSF
(あらすじ)
 19世紀末、英国上空に飛来したUFOから赤ん坊がグリーンのエメラルドとともに地上に舞い降りた。それから100年後のロンドン。ユニセックスなメイクとファッションでロック界のスターに登りつめたブライアン・スレイドが公演中に射殺される。ところが、それが狂言だった事が発覚し彼はシーンから姿を消してしまった。それから10年後、NYの新聞記者アーサーが事件の真相を追うことになる。当時を知る関係者の話を聞きながら、時代を駆け抜けたスーパースターの栄光と挫折の物語が明らかになっていく。
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(レビュー)
 ロックスターの栄光と転落の人生をファッショナブルな映像で綴った音楽映画。

 カリスマ的なロックスター、ブライアンをJ・リス・マイヤーズ、その恋人となるカートをE・マクレガー、そして二人の関係を追いかける記者アーサーをC・ベイルが演じている。人気若手俳優が夫々に華やかなショウビズ界の舞台裏で愛し合うという物語は、ある種腐女子嗜好に合致したドラマと捉えることも可能だ。現に監督のT・ヘインズはゲイである事を公言しているし、当然そのあたりの所は描きたい事の一つだろう。ただ、ドラマの根幹を成すのは、UFO飛来という寓話のようなオープニングからも分かる通り、エイリアンに見初められた数奇なスターの傷だらけの栄光という奇抜なファンタジーである。セクシャルな”美しさ”の傍らでは、人間の業に根ざした”醜悪さ”が併置され、「アナザー・カントリー」(1983英)のような純化された耽美映画とは一線を画す独特な雰囲気を持っている。

 また、T・ヘインズの作家としての資質は、ゲイ・カルチャー以外にもう一つ、ポップス、ロックに対する偏愛が挙げられる。後にボブ・ディランの伝記映画「アイム・ノット・ゼア」(2007米)を撮ったことからもそのことはよく分かる。随所に登場するライブ・シーンやブライアンのPV映像にその資質が見られる。70年代に一斉を風靡したグラム・ロックとパンクはブライアン、カートという二人のスーパー・スターの活躍によって体現され、この映画に「音楽」の存在は欠かせない。

 また、映像も本作の重要な要素である。サイケデリックなトーンが見られたかと思えば、中世ゴシック風なトーンが突如として表れ、この寓話を様々にデコレーションしながら、まるで”おもちゃ箱”のように見せていく。「音楽」と共に繰り出される数々の「映像」は本作のもう一つの魅力と言っていいだろう。

 ところで、「音楽」と「映像」は人間の想像力が生みだす産物という点で共通する代物だと思う。発信する側と受け取る側の相互関係、人と人が想像力で繋がる共有文化だ。それはとてもミステリアスなものである。そして、同時に洗脳の道具にもなりうる恐ろしいものであると思う。この事を示すセリフが劇中から見つかる。

ブライアンは記者会見のシーンでこんなことを言っている。
「音楽は仮面にすぎない」
彼にとって音楽は大衆を扇動する一つの手段に過ぎなかった。ブライアンが生み出した巨大なイメージ(歌詞や曲のリズム)に大衆は踊らされていった。極論すれば、音楽は人々の心を支配するという点で宗教の偶像崇拝に似た構造を持っているような気がする。何の疑念も持たず踊らされる大衆の姿はどこか滑稽であるが、それを人は「流行」と呼ぶのだろう。

 そして、終盤でカートはアーサーにこう言っている。
「人生はイメージだ」
ラストでアーサーは雪の中に幸せを見る。これは彼の妄想だろう。つまり、この世の全ては見る人の想像力によって如何様にも見える‥ということを言っているのだと思う。
 
 以上の二つのセリフから、「音楽」と「映像」はこんな風に考えられるのではないだろうか。
 「音楽」は聴覚に「映像」は視覚に訴えるイマジネーションに過ぎない。そして、人はそれに偶像を求め、その偶像によって狂わされていく生き物である。こう考えると、人のイマジネーションとは実に"恐ろしく″、″面白いもの″であるような気がする。
 そして、金ぴかド派手なグラムロックを奏でながら過剰な映像装飾を観客に突きつけてくる本作も、正にこのことを地で行っているような作品と言えよう。本作が訴えかけるテーマは、案外哲学的かもしれない。

 ところで、ニューヨークのアンダー・グラウンドでカルト的人気を博した「リキッド・スカイ」(1983米)は、ある部分で本作とよく似ている。UFOに乗って登場するジャックはバイセクシャルな宇宙人という設定で、彼の目的は地球を侵略(?)することである。これは「リキッド・スカイ」に登場する宇宙人とよく似ている。もしかしたら意識的な拝借なのかもしれないが、作品の出来に関して言えば、余りにも退屈で寝てしまった「リキッド・スカイ」に比べたら本作のほうが数段上である。
[ 2010/04/14 01:24 ] ジャンル青春ドラマ | TB(0) | CM(0)

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