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みんな誰かの愛しい人

小品ならではの味わいがある。
みんな誰かの愛しい人 [DVD]みんな誰かの愛しい人 [DVD]
(2005/05/18)
アニエス・ジャウイマルリー・ベリ

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「みんな誰かの愛しい人」(2004仏)星3
ジャンル人間ドラマ
(あらすじ)
 ぽっちゃり体型がコンプレックスの20歳のロリータは、有名作家の父から常に疎外感を受けていた。父がスレンダーな美女と再婚したことで、その悩みは益々深まる。音楽学校に通う彼女は、心を込めて吹き込んだ自分の歌が入ったテープを父にプレゼントする。しかし、父はそれを机の引き出しに閉まったまま一向に聴かなかった。落ち込むロリータだったが、ある日、酔っ払っていた青年セバスチアンと運命的な出会いを果たす。彼との交友に慰められるロリータ。そして、毎年恒例になっている家族揃っての旅行に彼を誘う。ロリータの担任教師シルヴィア、彼女の夫で新進気鋭の作家ピエールも招待され、一同は賑やかな休暇を楽しむのだが‥。
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(レビュー)
 肥満体型で不美人で決して歌も上手くない地味な少女ロリータの不安と孤独をしみじみと綴った作品。

 まず、映画の開幕からロリータの置かれてる状況が描かれている。彼女と父の関係は初めから折り合いが悪い。父はかつての文壇の華であり、派手な生活を好む遊び人である。地味なロリータとは真っ向から相反するキャラクターであり、根本的に性格が合わない。そして、父がモデル並のプロポーションを持つ美人と再婚したことで、ロリータは益々劣等感を募らせていく。

 ロリータと他の人間関係を見てみると、彼女の置かれている状況は更に悲劇的である事が分かる。ボーイフレンドのセバスチアンはフリーのジャーナリストをしている。自分に優しくしてくれるが、それは有名作家の父に近づくためなのではないか‥と疑いを持つようになる。
 音楽教師シルヴィアとの関係についても、同様に疑心暗鬼を募らせていく。新人作家をしている夫ピエールの出世のために、自分は利用されているだけなのではないか‥と勘ぐる。
 独善的で大嫌いな父。それなのに、その父のおかげで自分と周囲の関係が成り立っている。父を認めたくはないが、そうすると今の自分まで否定することになってしまう。このジレンマがロリータを益々不安にさせていくのだ。

 思うに、彼女の孤独感は容姿に対するコンプレックスからきているような気がする。年頃の女の子ともなればそれも当然だと思う。不細工でどうせ愛されないのなら自分の存在そのものを押し殺してしまえば嫌われずにすむ‥。そんな悲劇のヒロインに自分を貶めることで、彼女は孤独の殻に閉じこもっている。
 しかし、俺はこのネガティヴな思考こそが最大の誤りなのだと思う。「ダメ」のレッテルを貼っているのは誰でもない、自分自身であることを彼女は気付いていない。被害妄想に取り付かれてしまえば、ますます誰からも愛されなくなってしまうのは当然である。このあたりは何となくイジメの構造に似ていると思った。

 本作は、そんな彼女の成長を描くイニシエーション・ドラマとなっている。ロリータに幸せになって欲しい‥。そう誰もが思うだろう。そして、映画もその期待にきちんと応えてくれる。
 ただし、決して全てを丸く収めようとするのではなく、分相応の慎ましやかな幸福で締めくくっている。そこがこの作品の良い所だ。そもそも諸手を挙げてのハッピーエンドは、この設定上リアリティを欠くだろう。丁度良い塩梅の着地点となっている。

 キャストでは、何と言っても父親役を演じたJ=P・バクリの存在感が際立っていた。他人の作品をコケ下ろすくせに自身の作家としての才能の枯渇も、ロリータの歌の才能も認めようとしない独善的な父親を演じている。これをバクリは飄々と、時にダメ中年の哀愁をちらつかせながら妙演している。正にベテランの味わいという感じがした。
[ 2010/04/20 01:24 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(0)

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