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選挙

エンタテイメントとしても中々面白く見れる。
選挙 [DVD]選挙 [DVD]
(2007/12/22)
山内和彦

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「選挙」(2006日)星3
ジャンルドキュメンタリー・ジャンル社会派
(あらすじ)
 2005年、川崎市宮前区の市議補欠選に出馬した自民党公認の新人山内和彦の選挙戦を追ったドキュメンタリー作品。
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(レビュー)
 昨年見た「精神」(2008日)の監督想田和弘の長編デビュー作品。氏は映画制作の基本として自称”観察映画”というスタイルを取っている。これはナレーションを一切排除し、事実の描景に専念する極めて特異なスタイルである。どんな映画でも普通は伝えたいテーマを前提として撮るものである。かの「華氏911」(2004米)を撮ったM・ムーアも作品の中でかなりの主張をしている。しかし、本作にはナレーションのような作家の思想が入る余地は一切無い。観客は客観的な立場を取る事を余儀なくされる。“観察映画”は真の意味での記録映画に近い作品だと思う。

 自分は第一に、この映画に映し出される選挙戦の舞台裏にジャーナリスティックな面白さを感じた。我々の生活に深く関わる選挙だが、実際のところは政治に対する不信感からどこか別世界の出来事のように見ている人も多いのではないかと思う。この映画には、傍から見ていては決して知ることの出来ない選挙戦の舞台裏が登場してくる。

 例えば、普段は主婦をしているようなオバ様達が選挙事務所でせっせと内職する風景が登場してくる。その時の会話は結構きつい。山内氏の選挙ポスターを評して「目つきが怖い」などとぶっちゃけたり、学会の新聞勧誘をこけおろしたり、カメラの前だというのにお構い無しに生々しい会話に興じている。
 また、山内候補の私生活にもカメラは深く切り込んでいく。市議選に立候補するくらいなのだからどんな人物なのか?気になるところだが、彼は新妻と質素なマンションに暮らしている。普段はコンビニ弁当とカップ麺の食生活で、時々夫婦喧嘩をしたりもする。この山内氏は、東大卒という肩書きを持っているが、切手商を営む若干40歳のどこにでもいる平凡な男である。それが幸か不幸か当時の小泉旋風の恩恵で、まさしく棚ボタ式に出馬することになった。これまで政治の世界と全く無縁だった男が、どんな信念に基づいて政治活動を目指すのか?この重要な部分については、この映画を見てもほとんど分からない。彼はただ周囲の先輩議員や後援会の人々の指示を仰ぎながら、公衆の場に顔を売りに行くだけである。電車に乗る時にも、コンビニで買い物する時にも、候補名が書かれたタスキを外さないという徹底振り。ほとんど名刺を歩き配る営業マンのようである。敢えて彼の政治信念を写さないのも思想を排した”観察映画”のスタンスだろう。選挙の舞台裏とはこういうものなのか‥というのを見せられているような気がして、実に興味深く見る事が出来た。語弊があるかもしれないが、エンタテインメント・ムービーとして面白く見れた。

 それと同時に、俺は一連の選挙活動を見ていて、山内氏を含めた関係者の余りに稚拙で型にはまった機械的な選挙戦術の数々に苦笑を漏らしてしまった。これは正にどぶ板選挙の典型である。候補者本人の人間性とは無関係に勝手に勧められていく選挙戦。選挙とは一体何なのか?それに投票する我々市民の1票の価値は何なのか?そんな事を考えさせられた。

 見る人によっては選挙資金の苦労を思い知る人もいるだろう。あるいは、政治不信をいっそう強めてしまう人もいるかもしれない。この映画を見てどう思うかはまちまちだと思う。しかし、これこそが作家の思想を押し付けず広く自由な解釈を与えてくれる、相田監督の言うところの”観察映画”の面白さなのだと思う。次回作は「演劇」というタイトルで目下製作中ということである。どんな舞台が登場してくるのか今から楽しみである。

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