過去からは逃れられない。それが勝者の定め‥か?
「ロッキー・ザ・ファイナル」(2006米)
ジャンルスポーツ・ジャンル人間ドラマ
(あらすじ) ボクシングの元世界チャンピオン、ロッキーは、小さなイタリアンレストランを切り盛りしながら静かな生活を送っていた。ある日、30年振りに町の不良娘だったマリーに再会する。今や彼女はシングルマザーになっていた。彼女と親交を重ねていくことで、ロッキーの心は少しだけ潤いを取り戻していく。そこに現世界チャンピオン、ディクソンから思わぬ挑戦状が届き‥。
DMM.comでレンタルするgoo映画映画生活ランキング参加中です。よろしければポチッとお願いします!


(レビュー) S・スタローンを一躍スターダムに押し上げた人気シリーズ「ロッキー」。それが約16年ぶりに復活。ロッキーの最後の戦いが描かれる完結編である。
今作は何と言っても、還暦を迎えたスタローンの年齢を感じさせない強靭な肉体と過酷なファイト・シーンが見どころである。
もっとも、老体に鞭打ってのトレーニングシーンは、見ていて少々辛いものがあった。また、全ラウンドを戦い抜くだけのスタミナが到底あるようには見えず、クライマックスのファイトも見ていて苦しい。結局最後は余り入り込めず、少し引いた目線で見てしまった。
ただ、不可能を可能にする男ロッキーの”軌跡”は今に始まったことではない。”軌跡”こそがこのシリーズの醍醐味なわけで、荒唐無稽はこの際お約束。過去作を見ている人にとってはこの奇跡も”あり”という風に受け止められるのではないだろうか。
物語前半は第1作目を振り返るようなエピソードが積み重ねられている。亡き妻をしのぶ姿、思い出のリトル・マリーとの交友、悪友ポリーとの腐れ縁、何だか見ているこちらも懐かしくなってしみじみとさせられた。改めて第1作の素晴らしさが噛み締められる。
また、ロッキーの説教節は今回も健在である。疎遠になった一人息子との関係修復のドラマにそれが炸裂する。彼の口から発せられる「諦めるな、ガッツを見せろ」という息子への叱咤激励は、還暦ならではの貫禄も手伝い説得力も十分だった。これもシリーズのお約束と言っていいだろう。
エンディングは少々くどい感じがした。そこまで上手くまとめちゃうと何だかなぁ~という感じがしたが、まぁ‥今作はファンのために作られたお祭り的な作品なので、ここは微笑ましく見てやるべきなのかもしれない。
いずれにせよ、さすがにこれでシリーズのファイナルとなることは間違いないだろう。ロッキーの最後の雄姿が拝めると言う意味でも、ファンなら見ておきたい1本である。