中途半端な作りで残念。
「日本脱出」(1964日)
ジャンル青春ドラマ・ジャンルサスペンス
(あらすじ) バンドマンを夢見る青年竜夫は、兄貴と慕うドラマー、タカシの金庫破りに加担させられる。金庫破りはまんまと成功するが、逃走中に警官を撃ち殺してしまったことから計画は狂っていく。仲間割れが起こり、紅一点ヤスエが郷田に襲われる。彼女を守ろうとして竜夫は郷田を殺した。その後、タカシも薬物依存症で死んだ。竜夫とヤスエは渡米を企てるのだが‥。
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(レビュー) うだつの上がらないチンピラが強盗に手を染めて転落していく犯罪映画。
東京オリンピック、トルコ風呂やGIの妾といった当時の世相、風俗が、この映画には登場してくる。主人公竜夫の夢も当時の風潮をよく表している。彼はバンドマンになってアメリカに行くことを夢見ている。バンドマンとして成功するなら別に日本だって構わないわけだが、”カッコイイ””垢抜けている”というアメリカに対する漠然としたイメージから彼は渡米に固執するのだ。安保闘争で揺らぐ若者達がいる一方で、彼のように日米の狭間でくすぶるミーハー気質な若者がいる。この事実は大変興味深い。戦後生まれ第一号の世代であろう竜夫の生き方は、時代の混迷を象徴しているかのようである。
ただ、世相を敏感にキャッチしたところは評価できるのだが、純粋に映画そのものの出来を言ってしまうと、かなり中途半端な作りと言わざるを得ない。犯罪ドラマとしても青春ドラマとしても今ひとつ覇気が感じられない。
例えば、前半の強盗描写は余りにも安穏としたもので退屈してしまう。目と鼻の先にある交番や金庫室の警報機といったサスペンス素材が尽く愚鈍に演出されている。
また、青春ドラマとして見ても、竜夫の葛藤に深く切り込むまでにはいたっていない。ヤスエを救ったことで奇妙な愛情で結ばれる所に少しだけ彼の葛藤が出現するが、そもそも彼が強盗に関わる理由が中々画面上からは伝わってこない。これではただヒステリックにわめき散らすだけのガキにしか見えず、主人公としての魅力が全然感じられなかった。
監督・脚本は吉田喜重。アート・ドキュメンタリーを闊歩した鬼才だけあって、所々にセンスの良いショットが見つかる。もっとも、後期作品に比べるとその才覚はいまだ開眼せず‥と言ったところであるが‥。
途中で見るのをやめました
今と時代が違うと言ってしまえばそれまでですが竜夫という人物の
支離滅裂さを描写しているだけの作品だと思いました
実際に犯行を計画した段階で竜夫のような人物は除外されるはずです
金庫から現金強奪も緊張感なくなぜ4人でこれをやることになったのか
各登場人物の背景が描かれていないので共感も感情移入もできません
あえて良い点をあげれば
・当時はこんな粗雑に金庫が管理されていたのか
・警報機も簡単に解除できる粗末なものなのか
現在との違いに感嘆する程度です
監督は有名な人らしいですが、映画としての楽しさが感じられず
「あの監督の作品」その名前だけあればいいのか…疑問です
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