ベルモンドの成りは良いのだが‥。
「パリ警視J」(1984仏)
ジャンルアクション・ジャンルサスペンス
(あらすじ) パリ警察の敏腕刑事ジョルダンは麻薬犯罪組織の首領メカチの逮捕に執念を燃やしていた。ところが、行き過ぎた捜査から風紀課に左遷されてしまう。それでも彼の執拗な捜査は終わらなかった。かつて自分が逮捕した麻薬常習犯を訪ねて、メカチに関する重要な証拠を聞き出す。
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(レビュー) J・ポール・ベルモンドがタフな刑事に扮して大活躍を繰り広げるポリス・アクション作品。
監督・脚本はJ・ドレーということで大人の雰囲気を醸したハードボイルド作品を期待したのだが、その期待は大きく裏切られてしまった。ベルモンドのアクション、ドレーの演出、共に精彩に欠く。ハードなアクション映画を狙っているのだが、ドレーという監督の資質を考えた場合、相性が余りよろしくない。
例えば、冒頭の追跡劇。初っ端からいくらなんでもここまで何でもアリだと見ているこちらが白けてしまう。また、シナリオの穴も多い。薬漬けにされた少女や男女の仲になる売春婦のエピソードなどは投げっぱなしである。
そもそもJ・ドレーと言えば、以前ここで紹介した
「フリック・ストーリー」(1975仏伊)のような、息を呑むような手に汗握る緊張感を作り出すのが上手い監督である。本作にはそういったテイストはほとんど出てこなかった。
そんな中唯一上手く作られていたのは、売春婦とジャンキーがたむろする歓楽街のシーンだった。麻薬組織の情報を聞き出すためにベルモンドが足繁く通うのだが、薄暗く隠微な雰囲気が漂い猥雑に撮れていて良かった。ここだけ変にリアリティが感じられた。
尚、敵役メカチをH・シルヴァが演じている。シルヴァと言えば、不死身のヒットマンを怪演したB・レイノルズ監督・主演の「シャーキーズ・マシーン」(1982米)が思い出される。主人公が麻薬課の落ちこぼれ刑事という設定、売春クラブを舞台にした捜査等、色々と共通点が見つかる。もしかしてパクッたのか?と思えてしまうほどだが、シルヴァの演技に関して言えば今回は収まりが良すぎて今一つ物足りない。「シャーキーズ・マシーン」ほどの強烈な演技が見られなかったのが残念だった。