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盲獣

インポテンツを極限的なシチュエーションで描いた”キケン”な映画。
盲獣 [DVD]盲獣 [DVD]
(2007/11/22)
緑魔子.船越英二.千石規子

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「盲獣」(1969日)星5
ジャンルロマンス・ジャンルサスペンス
(あらすじ)
 人気モデル、アキは写真展で奇妙な男を見る。その後、その男はマッサージ師として再び彼女の前に現れた。実は、彼は道夫という盲目の彫刻家だった。アキは道夫に拉致され人里離れた廃工場に監禁されてしまう。
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(レビュー)
 盲目の彫刻家・道夫に監禁されたモデル・アキの絶望的な愛をシュールに綴った作品。
 江戸川乱歩原作の猟奇趣味、増村保造監督の艶かしいエロティズムが見事に融合した怪作である。倒錯的な性愛をスリリングに活写し、一種異様な雰囲気を持った作品に仕上がっている。

 道夫はたった一人の家族である母の寵愛を受けながら、造形ヲタクよろしく引き篭もりの生活を送っている。すでにこの設定からして異常なわけだが、彼は一目惚れしたアキをモデルとして拉致監禁する。当然アキは脱出を試みるのだが後一歩という所で道夫の母親に連れ戻されてしまう。そして、道夫の気持ちを弄んだとして母から虐めを受けるのだ。こうしてアキは徐々に精神を崩壊させていくようになる。子が子なら母も母である。この母子関係には近親相姦的な偏愛も想像でき、そこに禁忌的な危うさも付帯する。

 物語は若干シュールに展開されるが、アキのモノローグがその場の状況、心理を簡潔に形而下しているので混乱するようなことはない。むしろ、即物的すぎて見ようによっては見世物小屋的作品と写るかもしれない。
 ただ、当時の新東宝の”それ系”なマニアックな作品が一定の需要を得ていたことからも分かる通り、こうしたエログロが一部で受けていたのも確かである。

 例えば、映像上最もインパクトに残るのは、道夫のアトリエのプロダクション・デザインである。目、口、鼻、手足、胸といった人体のパーツが壁一面に敷き詰められ、中央には巨大な女体のオブジェが二体並んでいる。芸術家の脳内宇宙をシュールに再現したものであり、それを巧みなスポットライト効果で少しずつ見せていく演出はすこぶる不気味で見せ物映画的興奮に満ちている。
 そして、道夫とアキの倒錯的なSMプレイがもたらす残酷な顛末。これも印象に残った。道夫が作ったオブジェで顛末を表現してしまう演出は正に”技あり”である。”ドスン!”という音にビビった。

 ただ、その一方で映画としての作りにやや粗さも見つかる。例えば、道夫とアキの鬼ごっこや母親の末路。これらについてはもう少し配慮して欲しかった。どうしても安穏としすぎてしまう。

 主要キャストはたったの3人であるが、いずれも熱演を見せている。特にアキ役の緑魔子の物の怪にでも取り付かれたような"イッちゃった”演技は凄まじかった。クライマックスの彼女の演技は正に「狂気」の一言である。
[ 2010/05/31 01:30 ] ジャンルロマンス | TB(0) | CM(0)

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