FC2ブログ










黒い画集 あるサラリーマンの証言

シリアスな訓話。
黒い画集 あるサラリーマンの証言 [DVD]黒い画集 あるサラリーマンの証言 [DVD]
(2009/10/23)
小林桂樹原知佐子

商品詳細を見る

「黒い画集 あるサラリーマンの証言」(1960日)star4.gif
ジャンルサスペンス・ジャンル人間ドラマ
(あらすじ)
 大手メーカーの課長石野は仕事も家庭も順風満帆だったが、裏では部下の女子社員と不倫をしている。彼女のアパートでひとしきり楽しんだ後、帰りがけに近所に住む杉山という男とかち合う。杉山は保険の外交員をしているうだつの上がらない男で、それほど親しいわけでもなかったが、その時は挨拶を交わして別れた。その後、杉山が殺人事件の容疑者として逮捕される。被害者は杉山の顧客で、警察は金銭トラブルのもつれが原因だと睨んだ。杉山はその日は別の場所で石野に会ったと主張する。しかし、肝心の石野は不倫の発覚を恐れてその事実を否定した。やがて彼は良心の呵責に苛まれていくようになる。
楽天レンタルで「黒い画集 あるサラリーマンの証言」を借りよう
DMM.comでレンタルする
goo映画
映画生活

ランキング参加中です。よろしければポチッとお願いします!

FC2ブログランキング
にほんブログ村 映画ブログへ人気ブログランキングへ


(レビュー)
 冤罪を立証すべき立場にいる人間の苦悩をシリアスに綴ったサスペンスドラマ。

 松本清張の原作を黒澤組の門下堀川弘道が監督。脚本をこれまた黒澤組の橋本忍が担当している。安定感のある布陣だけあって、淡々とした作風の中にも人間の欲心と良心の追及が見事に描かれている。
 この映画は殺人事件の捜査よりも、嘘の証言をする石野の葛藤に踏み込むことに主眼を置いて作られている。清張=ミステリーと期待してしまうと物足りなさを覚えるかもしれないが、石野の苦悩に黙々と迫った作劇は大いに見応えがあった。

 石野は20年間、真面目に仕事をやって来た男である。出世は目前。家庭も円満。それが水の泡と消えてしまうのはどうしても避けたかった。しかし、コトは人命に関わる重大な問題である。このまま杉山を見捨てていいのか?彼が死刑になれば自分も人殺しと変わらないじゃないか?この葛藤が延々と追求されていく。石野を演じるのは小林桂樹。小市民的な造形が正に適役であり、その苦悩はこちら側によく伝わってきた。

 テーマは「嘘」ということになろうか。そもそも石野の「嘘」は家族を裏切る不倫から始まる。その後、無実の男杉山をに対する「嘘」、やがて法廷やマスコミを巻き込んだ社会全体に対する「嘘」に膨れ上がっていく。一つの嘘がこれほど膨大なものになっていくとは、おそらく石野本人でさえも予期せぬことだったろう。何と恐ろしいことか‥。

 と同時に、やはりこのドラマは罪と罰のドラマとしても見れる。この世に「嘘」がまかり通ってはいけない‥という思いが涌き起こる。その点から言うと、このラストにはカタルシスを覚えた。

 また、このラストでは石野の愛人にも当然の報いが下る。実は、このドラマにおいて彼女の存在は中々面白い立ち位置となっている。特に、後半からその存在感が光ってくる。

 事件当時、石野と一緒にいた彼女は、言わば石野の嘘の共犯者となっていく。彼女にもそれなりに将来の夢があり、今ここで妙な騒ぎを起こされては困るということで石野に促されて口をつぐむのだが、狡猾な彼女は更なる野心を持ってある事件を引き起こす起爆剤となっていく。ここまで危機感無くあっけらかんとしていられるのは、天然なのか?あるいはよほど肝が据わっているのか?いずれにせよ、この映画で一番の悪者は?と問われれば、間違いなく「彼女だ」と言えるだろう。世の中に悪い奴は多いが、こういう手合いの女は本当に始末に終えない。彼女に比べたら、石野はまだまだ可愛い方だ。

 ともかくも、嘘をつくことは恐ろしい、そして人生には思わぬ落とし穴がある。それを改めて認識させてくれるような作品である。
[ 2010/06/06 00:56 ] ジャンルサスペンス | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://arino2.blog31.fc2.com/tb.php/591-8e496a9d