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ブラックブック

中々良くできたサスペンス型メロドラマ。
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(2007/08/24)
カリス・ファン・ハウテン.セバスチャン・コッホ.トム・ホフマン.ミヒル・ホイスマン

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「ブラックブック」(2006オランダ独英ベルギー)星3
ジャンル戦争・ジャンルサスペンス・ジャンルロマンス
(あらすじ)
 1944年、ドイツ占領下のオランダ。元歌手のユダヤ人女性エリスは、ユダヤ人狩りが吹き荒れる中、身を隠しながら生きていた。レジスタンスの手はずで家族と共に国外脱出を試みるが、途中で家族を皆殺しにされてしまう。実は、それは罠だった。エリスは復讐を胸に占領軍の高官ムンツェに接近する。
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(レビュー)
 家族を皆殺しにされたユダヤ人女性がナチスに復讐を果たしていくサスペンス作品。

 どんでん返しを含めたプロットが面白い。肝要を成すのが、エリスを愛する二人の男のキャラクターにある。一人はナチスの将校ムンツェ。もう一人はレジスタンスの若きリーダー、ハンス。二人は本作のヒロイン、エリスを巡って対立する恋敵であり、ナチスとレジスタンスに分かれて対立する宿敵でもある。

 ムンツェは基本的にヒューマニズムを信条とする男で、従来のナチス=悪という一面的なキャラ付けになっていない所が魅力的である。彼は戦争の無情さをとくと知っており、外交で占領を進めようとする穏健派である。したがって、組織の中では少し浮いた存在bになっている。
 レジスタンスの一員になったエリスは彼の愛人になって情報収集していくのだが、最初は憎々しく思いながらも、その温厚な人柄に触れていくうちに次第に惹かれていくようになる。ムンツェも、エリスの正体を怪しみつつも、それでも彼女に対する愛を膨らませていくようになる。彼のこの複雑な男心を察すると、このメロドラマに一層の哀愁が沸き立ち心揺さぶられてしまう。

 一方、レジスタンスのリーダー、ハンスは、エリスがナチスから疑われないために偽の夫婦を演じるようになる。しかし、任務のための偽装結婚とはいえ、そこはやはり男と女である。一緒に暮らすうちに自然と愛着が沸いてくる。
 そして、彼はユダヤ人を救うために立ち上がる、言わばヒーローだが、ナチスのムンツェがヒューマニストだったように、そう単純には造形されているわけではない。終盤で、彼の傲慢な一面が明らかになってきて、もう一つの素顔が見えてくるようになる。その嫉妬に狂った行動はどこか狂気じみていて、人間の善と悪、建前と本音、その相克が見えてくる。

 このようにムンツェとハンスは決して一面的なキャラにはなっていない。夫々に善と悪の二面性を持った”生きたキャラクター”として見事に造形されている。また、夫々のキャラクター・タッチングをミスリード風に当て込むことで、本作は上手くサスペンスとして昇華されていると思った。中々良く出来たドラマである。

 惜しむらくは、ヒロイン、エリスの葛藤の浅薄さだろうか‥。ムンツェとの禁断の恋が彼女を苦しめていくようになるわけだが、これに関してはもう少し丁寧にな描写が欲しかった。
 中盤で捕虜救出のシーンがある。ここで彼女はハンスにムンツェも一緒に連れ出して欲しいと嘆願するのだが、このセリフがどうしても軽く写ってしまった。彼女にしてみれば確かに英断であろうが、そこに至るまでにもうワンクッション、彼女の心理変化の説明が欲しいところである。

 監督・脚本は鬼才P・ヴァーホーヴェン。それまでアメリカで映画を撮っていたが、今回は久々に本国オランダに戻っての製作である。この人の特徴は何と言ってもエログロ志向な演出だが、今回はそれほど刺激が強いものはない。ただし、アンダーヘアへの異様なこだわりは、この監督らしい嗜好となっている。ちょっと苦笑してしまった。
[ 2010/06/08 01:01 ] ジャンルサスペンス | TB(0) | CM(0)

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