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ハムレット

「ハムレット」を完全再現した大作!
ハムレット [DVD]ハムレット [DVD]
(2008/06/11)
ケネス・ブラナージュリー・クリスティ

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「ハムレット」(1996米)星3
ジャンル人間ドラマ・ジャンルサスペンス
(あらすじ)
 国王没後のデンマーク。王の跡を継いだのは弟のクローディアスだった。ハムレット王子は、父が亡くなって間もないというのに盛大な即位式を敢行し、あまつさえ母ガートルードと結婚した彼を許せなかった。ある夜、父の亡霊が出没するという噂を聞いたハムレットは、森の奥深くで亡き父と対面する。父の亡霊からクローディアスに暗殺された事を聞かされたハムレットは復讐を誓う。そして、愛する恋人オフィーリアにさえ心を閉ざし、狂人の振りをしながら只ひたすらクローディアス暗殺の機会を伺うのだった。
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(レビュー)
 シェイクスピアの名作を、自他共に認めるシェイクスピア・マニア、K・ブラナーが監督・脚本・主演を務めた4時間に及ぶ大作。物語の舞台を19世紀に移す改変は見られるものの、原作戯曲のセリフをノーカットで忠実に再現した所に、ブラナーの熱意が感じられる。今尚多くの人々から愛されるこの歴史的名作を蘇らせることに注力した彼の思いはこの作品から存分に伝わってきた。

 ただ、オリジナルを完璧に再現しようとした結果、”映画”として見た場合幾つかの不自然さもおぼえた。
 例えば、オリジナルを踏襲したセリフは芝居がかったものが多く、純粋に劇映画として見ると大仰で不自然極まりない。同様の事はミュージカル映画についても言えることだが、あくまで”舞台劇を映画にした作品”という割り切りの上で見るべき作品だと思う。
 また、冒頭の亡霊登場のシーンの臨場感の無さ。これも舞台劇的演出に近い。映画固有のモンタージュは、その意味するところを完全に切り離して援用されている。心の声を発する一人芝居も、やはり映画というより舞台的だ。

 演劇舞台と映画の違いは、観客にとって”平面的”か”立体的”かの違いである。ステージ上の芝居は、言わば観客から離れたところに存在する”額縁付き”のドラマである。舞台から遠くの席に座る観客にも分かるように、役者がオーバーアクトになるのはそのためだ。
 これに対して、映画は画面上の芝居に加えて、クローズアップ等の様々な映像演出で人物の心象を表現し、観客をドラマの中に引き込もうとする。映画は演劇舞台よりも能動的に観客をドラマの中に引き込もうとする”立体的”な構造を持った表現媒体なのだ。演劇舞台は客観的視点で見るものであるが、映画は主観的視点で見るもの。この違いがある。
 そういう意味で言えば、本作はあくまで演劇的な表現演出に留まっている。”堂々たる名作の映画化”と言うことは出来ても、”堂々たる名作映画”とは素直に評しにくい作品である。

 キャストは豪華である。J・レモンとJ・デンチはほんわずかな出演で何とも贅沢な器用である。シェイクスピア作品のイメージとかけ離れたR・ウィリアムスやB・クリスタルといったアメリカ人コメディ俳優を起用した試みも面白い。
 K・ブラナーはハムレットを演じるには少し年を取りすぎた感じを受けたが、大幅に減量して挑戦している。
 そして、オフィーリア役を演じたK・ウィンスレットは本作で一番印象に残る演技を見せてくれた。彼女が狂気に蝕まれ魂の抜け殻のようになっていく様は必見である。
[ 2010/06/16 00:19 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(0)

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