アンパイなネタだが‥。
「朝な夕なに」(1957西独)
ジャンル青春ドラマ
(あらすじ) 女教師ブルクホルトは、過去に学校とトラブルを起こして教育局長から目を付けられていた。このたび、ある男子校へ転勤を命じられる。そこで落ちこぼれクラスを受け持つことになった。しかし、彼女はつい高圧的な態度をとって生徒達のひんしゅくを買ってしまう。生徒達は反発して補習をサボって好きなジャズバンドの練習に出かけた。思うようにいかず苦悩するブルクホルト。そんな彼女に、生徒の一人マルティンが想いを募らせる。
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(レビュー) 管理教育に敢然と抗した美人女性教師のドラマ。
教師と生徒の師弟愛を美談風に描くドラマは、古今東西いくらでもある。これもその系譜に入る作品だが、正直なところこ出来は余り芳しくない。教師対生徒の軋轢ドラマがあってこそのカタルシスだが、この映画はそこの部分をかなり適当に描いている。
物理の授業でブルクホルトがちょっとしたユーモアで生徒達を笑わせるのだが、果たしてこれだけで”雪解け”となろうか?朴訥とした時代だったのだ‥と言い聞かせながら見ても安易に写ってしまう。
他にも、作りの甘さは多々見つかる。ハンスの母親の言は、いくらなんでも過保護すぎるのではないだろうか。さしずめ現代ならモンスター・ペアレンツである。しかも、それをブルクホルトが鵜呑みにしてしまうのだから、この浅はかさには呆気にとられてしまう。キャラクタータッチングの上でも納得のいかない演出に思えた。
また、ブルクホルトと恋仲になっていく校長も決して魅力的な人物とは言い難い。そもそも、「良」と言ったその口で次のシーンでは「悪」と意見を翻すのだから、彼の言動の一貫性の無さには困ったものである。一体、ブルクホルトは彼のどこに惚れたのだろうか?その経緯も浅くしか描かれていない。
極めつけは強引なハッピーエンド。これには閉口してしまった。どう見ても、行き当たりばったりな展開としか言いようがない。
確かに、生徒の溜まり場となる地下のジャズバーは魅力的な空間だと思うし、美人教師の毅然とした造形も中々に良い。しかし、余りにも朴訥とし過ぎていて興が削がれる作品だった。