「鉄男」の新作は全編英語で世界を照準!?
「鉄男 THE BULLET MAN」(2009日)
ジャンルSF・ジャンルアクション
(あらすじ) 東京の外資系企業に勤めるアンソニーは妻子と幸せな家庭を築いていた。ある日、そんな平和が一瞬のうちに謎の男によって奪われてしまう。息子が殺され、妻は家を出て行ってしまった。一体誰が?何のために?怒りを爆発させたアンソニーは異形の怪物へと変身していく。
goo映画映画生活ランキング参加中です。よろしければポチッとお願いします!


(レビュー) 塚本晋也監督が世界を熱狂させたカルト・ムービー「鉄男 TETSUO」(1989日)。それが約20年ぶりにスケールアップして帰ってきた。ほぼ全編英語によるセリフで世界マーケットを意識した作りとなっている。
とはいえ、物語は「鉄男 TETSUO」と「鉄男ⅡBODY HAMMER」(1992日)を合わせたような感じだし、どうしたって既視感は拭えない。強烈なビジュアルショックと爆音で最後まで突っ走った所に塚本監督の手腕は見出せるが、個人的には今までに無い刺激に満ちた”新しい何か”を見せて欲しかった気がする。
尚、映画の作りが完全にシリーズのファン向けになっているので、「鉄男」初体験の人には厳しい内容かもしれない。何故日本がプロジェクトに関わっているのか?何故アンソニーが謎の男から狙われるのか?そういった説明が無いため、一見さんには取っ付きにくい内容になっている。これらは「鉄男」という作品のある種”お約束”なのである。
そもそも本シリーズには一貫して監督自身が謎の男として繰り返し登場してくる。前作、前々作を見ている者にとっては彼に託されたシンボリズムを理解した上でそのキャラクターを把握する事が出来るが、初めて見る人にはワケが分からないだろう。謎の男はインポテンツの権化であり、男根の権化たる鉄男との合体を望みこの世を滅ぼそうとする中二病気質な私怨キャラなのである。
というわけで、ドラマはこれまでのパリンプセストでしかないわけだが、ともかく本作の魅力は映像と音に尽きる。ぜひ爆音で楽しみたい作品なので、鑑賞はDVDでなく劇場で。