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マンデラの名もなき看守

ワールドカップで盛り上がった南アフリカ。本作は南アの英雄マンデラの知られざる一面を描いた実話の映画である。
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(2009/04/24)
ジョセフ・ファインズデニス・ヘイスバート

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「マンデラの名もなき看守」(2007仏独ベルギー南アフリカ)星3
ジャンル人間ドラマ
(あらすじ)
 1968年、アパルトヘイト政策下の南アフリカ共和国に、白人軍人グレゴリーがやって来る。現地語を話せるという理由から、彼は反政府運動の指導者マンデラが収監されるロベン島で検閲官の仕事を任された。初めはマンデラをテロリストの首謀者として敵視していたグレゴリーだったが、彼の人柄に接していくうちにその考えが改まっていく。マンデラの息子が事故死したことをきっかけに、グレゴリーはアパルトヘイト政策に疑問を持つようになる。
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(レビュー)
 南アフリカ共和国初の黒人大統領ネルソン・マンデラは、27年もの獄中生活を送った。その間、ずっと彼を見続けていたのが今回の主人公グレゴリーである。本作は彼の原作を元にした実話の映画化である。マンデラとの間に芽生えた友情は、こんなことがあったのか‥という思いで興味深く見れた。

 一方でマンデラの素顔にも興味があったので、そこも見せてくれるのではないかと期待したのだが、残念ながら映画は必要以上に彼の内面を描くことをしていない。あくまでマンデラ=パーフェクトな良識者として造形するに留め、日常レベルでの素顔は中々見えてこない。存命中の人物の場合、ましてや今回のような英雄を描く場合は、そのイメージもあるのでどこまで踏み込んで描くかは中々難しい問題なのだろう。これについては、また別の機会に‥ということになろう。

 物語はややこじんまりとしてしまった感がある。原因はマンデラとグレゴリーの語りだけで全ての物語を説明してしまっている点にある。二人の長年に渡る交流は本来なら大河ドラマ的なスケール感を持った映画になってもおかしくはない。しかし、敢えて二人の友情にポイントを絞った作劇になっているせいで随分と小さな映画になってしまった。友情というテーマを明確にした結果だろうから、これは一つのやり方として合っているのかもしれない。しかし、名も無き囚人と看守の物語だったら、このやり方はあってもいいような気がするが、今回はマンデラというある種、偉人が見せる友情ドラマである。やはり、そこにはマンデラでしか描けないような周辺ドラマを盛り込んで、もっとスケール感のある友情ドラマにして欲しかった。

 監督はB・アウグスト。過去に「愛と精霊の家」(1993独デンマークポルトガル)や「レ・ミゼラブル」(1998米)といった絢爛な大河ドラマを撮ったベテラン監督である。本作にもそのくらいの氾濫万丈且つドラマチックな作劇を望みたかった。
 もっとも、この監督の作品の特徴は展開の流麗さにあり、その点についてはこれまでどおり一定の評価ができる。今回も飽きることなく最後まで一気に見ることができた。

 また、アパルトヘイトの実情を知ることが出来たのも良かった。例えば、グレゴリーも彼の妻も、最初は黒人=共産主義のテロリストという差別主義者として登場してくる。かなり過激な偏見だが、おそらく当時はこのような考え方を持った人達が多かったのだろう。こうしてアパルトヘイトの歴史が作られていった‥ということが本作を見るとよく分かる。
[ 2010/07/12 15:33 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(0)

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