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トリコロールに燃えて

中々見応えのある文芸ロマン。
トリコロールに燃えて スペシャル・エディション [DVD]トリコロールに燃えて スペシャル・エディション [DVD]
(2005/04/20)
シャーリーズ・セロンペネロペ・クルス

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「トリコロールに燃えて」(2004米英スペインカナダ)星3
ジャンルロマンス
(あらすじ)
 1933年のロンドン。苦学生のガイはアメリカ名士の娘ギルダと恋に落ちる。その後、彼女は母の死をきっかけに旅に出てしまった。3年後、ガイは教師になり、内戦で吹き荒れる故国スペインでレジスタンス活動に参加する。一方のギルダはパリで気鋭のカメラマンになっていた。彼女から手紙をもらったことでガイは消えかけていた愛を再燃させる。早速パリへ渡ったが、そこで彼を待ち受けていたのは衝撃的な事実だった。ギルダはパトロンと付き合っていたのだ。気まずい関係になるガイとギルダ。そこにギルダの専属モデル、ミアがやってくることで奇妙な同棲生活が始まる。
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(レビュー)
 戦乱に翻弄される男女の数奇なロマンスをドラマチックに綴った作品。

 ガイとギルダの出会いと別れを描く前半は、割りとアッサリとした描写に留まり食い足りない。トントン拍子に進む展開。上滑りするダイアローグ。時代に不似合いなエキセントリック且つ過剰なアート臭を放つ衣装やメイクの数々。装飾にこだわるばかりで、人物感情の深部に切り込めなていない。

 しかし、戦争の暗雲が立ち込めてくる中盤あたりからは徐々に面白く見れるようになっていった。スペイン内戦とナチスの台頭によってガイとギルダの関係は引き裂かれていく。正に命がけの恋だ。そして、そこにミアが割って入ることで男一人と女二人の三角関係が築かれていく。
 ここではミアの存在が面白い。彼女は片足が不自由な元ストリッパーで、カメラマンをしているギルダのお気に入りの専属モデルである。ミステリアスな過去、何を考えているのか分からない振る舞いにドキドキさせられた。彼女はガイとギルダの関係の鍵を握るキーパーソンになっていく。彼女の動向によって二人の運命はかき回され、この恋はドラマチックに展開されていくようになる。

 また、中盤以降はドラマも丁寧に作りこまれていくようになる。カメラマンとして、女優として活躍していくギルダの波乱万丈の生き様が、時間をタップリとかけて重厚に描写されていく。上昇から転落の人生。そこにヒロインとしての成長も確認でき見応えがあった。

 ギルダを演じるのはオスカー女優のC・セロン、ミアを演じるのはP・クルス。夫々に好演していると思う。セロンの堂々たる存在感、妖しい雰囲気を漂わせたクルスのミステリアスな造形、共に見事である。ヒロイン二人については申し分ない。一方の男優はということ、こちらは残念ながら女優二人に押され気味である。ガイ役のS・タウンゼントが今ひとつパッとしない。女優陣がこれだけ”濃い”キャラクターだと生半可な俳優では相手役は務まらないだろう。こちらにも濃い味系の男優をキャスティングして欲しかった。

 映像は文芸ロマンらしい美しさと格調高さを備えていて見応えがあった。深みのあるトーンが要所を締め、戦時下の悲恋というある種定番ネタといえる本作を堅実に支えている。
[ 2010/07/18 01:26 ] ジャンルロマンス | TB(0) | CM(0)

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