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兵隊やくざ

勝新と田村高廣のバディムービー。パワフルで痛快!!
兵隊やくざ [DVD]兵隊やくざ [DVD]
(2007/12/21)
勝新太郎.田村高廣.淡路恵子.滝瑛子.成田三樹夫

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「兵隊やくざ」(1965日)star4.gif
ジャンル戦争・ジャンル人間ドラマ
(あらすじ)
 昭和18年、満州の関東軍兵舎に新兵大宮がやって来る。彼はヤクザの用心棒をしていたこともある勝気な青年だった。その彼を有田上等兵が面倒を見ることになった。半年後に内地に戻れる有田は無用なトラブルを避けたかったが、その意に反して大宮は最速、砲兵隊と風呂場で一騒動起こした。有田が庇いどうにか事なきを得たが、その後砲兵隊の執拗な嫌がらせが続き、とうとう騒ぎは部隊同士の抗争にまで発展する。これが上層部に知れ渡り、大宮への懲罰命令が有田に下された。しかし、有田は厳しい制裁をする事が出来なかった。砲兵隊の傍若無人な振る舞いは目にあるものがあったからだ。大宮は有田の立場をを察し、自らの顔を殴り彼の面子を立てた。こうして二人の間に友情が芽生える。
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(レビュー)
 大映の看板スターだった勝新太郎が最も乗りに乗っていた頃の作品で、この「兵隊やくざ」も「座頭市」、「悪名」に並ぶ人気シリーズとなった。本作はこの後に8本製作された。勝新らしい野卑な魅力はもちろんのこと、随所に散りばめたユーモラスな演出が面白く見れる。

 勝新演じる大宮は、元々ヤクザの用心棒をしていただけあって腕っ節がめっぽう強い。他人の言う事を聞かないまるで狂犬のような男だ。上下関係が重んじられる軍隊の中で、彼のような一匹狼は異端児扱いされ様々な圧力を受けるようになる。しかし、彼はそのたびに反発を繰り返していく。アウトロー然とした立ち振る舞いが実に痛快で面白く見れた。

 一方、彼の上官となる有田上等兵は田村高廣が演じている。彼はインテリ育ちの才人で物静かで大宮とは正反対な男である。しかし、人権を蔑ろにした軍のやり方には不満を持っていて、その点では大宮に多いにシンパシーを感じている。性格や出自がまったく異なる二人であるが、次第に固い友情で結ばれていく。その様はさしずめ猛獣と猛獣使いといった関係だ。このあたりにはバディ・ムービーとしての面白さが存分に感じられる。

 物語は、中盤から芸者屋の女が登場してくる。男だらけのドラマにあって、彼女の存在は味がある。クライマックスに繋がる伏線的な役割も持たされており、キーマンとしての魅力も感じられ、こういった洒脱の効いた計らいは結構好きである。

 監督は増村保造。勝新の大立ち回りを含め、常にハイテンションな演出が続く。暴力描写に一部ヤリ過ぎと感じる部分もあるが、デフォルメされた世界観にあってはそれほどの違和感は受けなかった。
 また、結末には痺れさせられた。勢いを緩めることなく最後まで一気に突っ走ったところにカタルシスが感じられる。

 その一方でリアリズムに徹した状況描写もある。軍隊特有の不文律と言えばいいだろうか‥。それが垣間見れる。
 例えば、軍の上下関係は何も階級ばかりで決まるわけではない。時と場合によっては配属年数の方が勝るということを、有田上等兵と黒金伍長の確執から伺えた。また、炊事班が他の同じ階級の者たちより立場が優位にあるということも、意外な発見だった。確かに食生活の実権を握る彼等には誰も逆らう事は出来ないだろう。

[ 2010/09/18 03:12 ] ジャンル戦争 | TB(0) | CM(0)

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