「レッドクリフ PartⅡ-未来への最終決戦-」(2009米中国日台湾韓国)
ジャンルアクション
(あらすじ) 5万の劉備・孫権連合軍は赤壁の砦で軍勢80万の曹操軍と対峙する。孫権の妹、尚香が敵の情報を探るために曹操軍に潜入した。兵士達は慣れない土地で疫病にかかり疲弊しきっていた。しかし、冷酷な曹操はこれを利用して疫病を劉備・孫権連合軍に蔓延させる。劉備軍は苦渋の選択で撤退を余儀なくされた。こうして孫権軍は更なる逆境に立たされる。
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(レビュー) 三国志のエピソード”赤壁の戦い”を描いた
「レッドクリフPARTⅠ」(2008米中国日台湾韓国)の後編。
タレント揃いの戦場を破天荒な立ち回りで見せた前編は正に痛快の一言で、久々に地脇肉踊る興奮を覚えた。今回は総力戦といった感じのスケール感溢れる戦闘シーンが繰り広げられている。ここまで大掛かりな合戦シーンはアジア映画では中々お目にかかれないと思う。それを見れただけでも満足だった。
また、今回は女性キャラがキーマンとして活躍する。これも前編には無かった見所である。
尚香と敵青年兵のロマンスは微笑ましく見れた。得てして戦場はホモ・ソーシャルな世界で埋め尽くされがちだが、そこにちょっとしたスパイスとしてこのロマンスは情緒をもたらしてくれる。まぁ‥尚香の男装の麗人ぶりに無理があることは確かだが、そこさえ目を瞑ればクライマックスの身顕しは見応えがある。
また、周瑜の妻、小喬の機転をきかせた行動もクライマックスを大いに盛り上げていた。前編では完全に添え物扱いだった彼女が、ここまで肝の据わった女性を体現して見せたのは、この後編が戦う女をモチーフにしているからに他ならない。そういう意味では、前編との差別化はキッチリとはかられていたように思った。
難は、前編であれだけ活躍していた趙雲、張飛、関羽といったキャラクター達が、総力戦の影に隠れがちになってしまったことである。クライマックスにこそ活躍場面はそこそこ用意されていたが、前編に比べると明らかに物足りない。また、孔明は参謀役としてひとまずの見せ場が用意されているが、いざ激しい合戦を描くクライマックスシーンになると、ほとんど存在すら消えかけてしまっている。誰もが知る著名なキャラだけに、個々の活躍場面にはもう少し気を配った演出をして欲しかった。
監督は前編に続きJ・ウー。ケレンミ溢れる演出は今回も存分に楽しめる。「レッドクリフ」におけるケレンミの肝要を成すのは”舞”と”音楽”だと思う。スローモーションとオーバーラップというアンリアルな時間操作によって、男女の彩や友情、憎しみ、悲しみといった感情はよりいっそうエモーショナルに表現されている。
ただ、反面アンリアルさを強調しすぎたことで、戦争のシリアスさは薄まってしまった。この作為的な演出は随所で炸裂しており、ここが“見せ場”というシーン以外にも氾濫する。サービス過剰というよりも、もはや監督が自分の演出に酔っているだけという気がしないでもないのだが‥。こうした”見せ場”的演出が頻繁に登場すると間延びした感じを受けるし、本来ここぞという場面で効果が発揮されてなくなってしまう恐れがある。何事もほどほどにしておいた方が良い。