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悲しみは空の彼方に

メロドラマの巨匠D・サークが黒人差別の問題に挑んだ野心作。
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(2007/12/05)
ロバート・スタックフィンレイ・カリー

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「悲しみは空の彼方に」(1959米)星3
ジャンル人間ドラマ・ジャンル社会派
(あらすじ)
 1947年のコニー・アイランド。夫を戦争で亡くした未亡人ローラは、モデルをしながら幼い娘スージーと小さなアパートで暮らしていた。ある日、海岸で黒人女性アニーと出会う。彼女もまた幼子サラジェーンを抱えるシングルマザーだった。住む家がないというアニーの事情を気の毒に思ったローラは、彼女等を部屋に住まわせることにしてやる。こうしてアニーは世話係として働くことになり、サラジェーンはローラの計らいでスージーと同じ学校に通うようになった。そんなある日、ローラに映画出演のチャンスが舞い込んで来る。
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(レビュー)
 シングルマザーの友情と苦悩を描いた人間ドラマ。

 女優として活躍していく白人女性ローラ。家庭を切り盛りしながら彼女を支える黒人女性アニー。人種も身分も異なる二人のシングルマザーは固い友情で結ばれていく。そこにしみじみとさせられた。

 監督はメロドラマの巨匠D・サーク。上昇していくローラの人生と下降していくアニーの人生の対比が物語をドラマチックに演出している。終盤がいささかご都合主義に思えたが、逆に言えばこの俗っぽさこそサークの真骨頂でもある。好みの分かれる所かもしれないが、ここまで自身の作風を貫かれるとかえって潔さを感じてしまう。

 また、本作は人種差別という社会派的な問題を描いており、このあたりも見応えがあった。黒人に対する反差別運動が興ったのは60年代に入ってからである。その後、公民権法が制定されたのは1964年。まだこの頃は黒人に対する差別意識が相当強かった。サークは当時の差別に対する厳然とした批判を、サラジェーンが辿る悲劇のエピソードに絡めて描いている。

 サラジェーンは黒人の母アニーと白人の父の間に生まれたハーフである。見た目だけでは黒人であることは分からない。そのおかげで学校では白人の子供たちと仲良くなり、ローラと本当の姉妹のようになっていく。しかし、噂というものは怖いもので、彼女の母が黒人であることはすぐに周囲に知れ渡ってしまう。学校で虐めを受けるようになったサラジェーンは苦悩する。そして怒りの矛先は母アニーに向かっていくようになる。この母子間の軋轢は後半部分の一つの見所になっており、黒人がいかに社会的差別に苦しんでいたかがよく分かる部分だ。彼女の幸薄い青春を、アニーは母親としてどうしてやることも出来ない。その苛立ち、悲しみは、察するに余りある。見ていて実にやるせない思いにさせられた。

 一方、ローラとスージー親子だが、こちらにも母子の軋轢ドラマは用意されている。ただ、アニーとサラジェーンの関係に比べればそれほどシリアスとまでは言えない。
 ローラは裕福でボーイフレンドもいるし女優業も順調である。スージーも好きなものを何でも買ってもらえる満たされた青春を送っている。それがスージーが思春期を迎える頃から、徐々に母子関係はギクシャクしていく。仕事ばかりのローラにスージーが反発を覚えていくようになるのだ。表向きは華やかに見える母子が、実際には目に見えない所で軋轢を繰り返していく‥というのがこのエピソードである。
 しかし、このローラの苦悩はアニーのそれと比較すると、どうしても上流階級特有の贅沢な悩みにしか見えない。劣悪な環境に置かれたアニーの方がシリアス度で言えば断然上で、どうもローラの葛藤の描き方には深刻さが足りなかった。

 対照的な女性の友情を描くという題目を掲げながら、ある種Wヒロインのような作りになっている今作だが、人種差別の問題を含め完全にアニーのほうに比重が置いた作りになっている。そのため全体のバランスが歪になってしまった感がある。アニーの献身的な母性振りは非常に魅力的であったが、それに比べるとローラの姿が今ひとつなのが残念だった。
[ 2010/10/28 01:44 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(0)

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